コンサドーレ札幌が高校の単位になる。広域通信制高校のクラーク記念国際高が、札幌の試合運営をサポートする「コンサドーレ札幌ボランティアスタッフ(CVS)」参加を単位取得の一部とする、ニュータイプの“授業”を始める。今季5月以降のホームゲーム3試合が対象で、各10人程度が参加する予定。Jクラブと高校がタッグを組んだ、ユニークな試みが誕生する。

 札幌の試合が高校の“テキスト”になる。クラーク記念国際高が、CVSへの参加を、正式な単位として組み込むことになった。「プロの試合運営というのは、なかなか体験できないこと。なにかのきっかけづくりになってくれれば」と同高関係者は話した。クラブ側との交渉は22日までに終わっており、今後は同高で希望者を募っていく。

 対象となるのは札幌ドームで行われる5月5日の東京V戦、7月25日の横浜FC戦、11月23日の徳島戦の3試合。札幌にある大通、白石キャンパスの生徒を各試合10人程度参加させていく方針だ。CVS参加後に同高がクラブ側に生徒の活動状況、時間などを確認。同キャンパス国際学科で年間10時間定められている、「特別活動」の単位の一部としていく。

 無償で働く意義を知るには格好の機会となる。CVSとは、札幌が運営経費を圧縮するために98年に設置したボランティア団体。発足13年目に入り、終了後のごみ拾いなど基本的作業だけでなく、体の不自由な観客へのサービスまで、多岐にわたる活動を任されている。クラブからも「なくてはならない存在」と高く評価されている。プロの試合運営という緊張した空間から学ぶものは、学校内では得られない貴重な体験となるはずだ。

 同高関係者は「活動を通して、なにか好きなこと、好きなものをみつけてもらえれば」と生徒の成長も期待した。同高は07年のノルディックスキー世界選手権札幌大会でのボランティア活動を単位取得の対象にしたことはあったが、Jリーグの試合運営となると初めて。コンサドーレ札幌が、札幌ドームという“大教室”で、若者の夢づくりをサポートしていく。【永野高輔】