<J1:G大阪2-0東京>◇第8節◇24日◇万博

 左太もも裏筋膜炎で欠場が続いていたG大阪の日本代表MF遠藤保仁(30)が、復帰即結果を出した。ホーム東京戦の後半開始からリーグ3試合ぶりに出場。後半30分にシュートと見せかけた技ありパスで、FW宇佐美貴史(17)のJリーグ初得点をアシストした。遠藤が入った後半に2得点が生まれて、リーグ戦では今季本拠地初勝利。W杯に向け「日本の心臓」が復調し、G大阪も上昇気流に乗った。

 その1プレーに、遠藤の技術が凝縮されていた。1点リードの後半30分。宇佐美が放ったシュートのこぼれ球を、ペナルティーエリア内右寄りで遠藤が受けた。1度はシュートの体勢に入ったが、GKが反応したのを見逃さなかった。コンマ数秒で、ゴール中央にいた宇佐美へのラストパスに切り替えた。まさに「秒殺」だった。とっさの判断力で、GKの動きと宇佐美のポジショニングを把握しダメ押し弾へと結びつけた。

 「最初はシュート(の体勢)で動いて、途中で(パスに)変えました。(シュート)コースはありましたけど、ボクが打つより(宇佐美)貴史が打った方が確率が高い。(宇佐美が)フリーになりましたしね」。

 さすがは遠藤だ。日本代表で臨んだ7日セルビア戦で左太もも裏筋膜炎を発症。当初は5月1日鹿島戦での復帰を目指し、この日もベンチスタートだった。試合展開次第では温存される可能性もあったが、西野監督は「前半は攻め手がみつからなかった。もっと時間制限した中で(遠藤を)使いたかったが、思い切って万全ではない中で入れた」と説明。突然での出番でも冷静に状況を把握し、攻撃を活性化。すぐに結果へと結びつけた。

 今後はW杯に照準を合わせていく。過密日程を避けるため、25日に出発するアジア・チャンピオンズリーグの中国遠征には帯同しない。日本代表合流までは、休養を取りながら公式戦4試合をこなす方向だ。遠藤は「まだ100%ではない。段々(ベストに)近づいていけるように。今日がいいスタートになった」。開幕ダッシュに失敗したチームは、5試合目にして本拠地でのリーグ戦初勝利。これから遠藤とG大阪の季節が到来する。【益子浩一】