<J1:鹿島3-2磐田>◇第14節◇24日◇ヤマハ

 鹿島は2点差をはね返して磐田に3-2で逆転勝ちして首位を堅持した。

 高温多湿の気候と最悪の立ち上がり…。苦境下で0-2からの逆転勝利を挙げた王者鹿島のイレブンはホッとした表情を浮かべた。同点弾を決めたMF中田浩二(31)は「逆転したのは鹿島の90分間あきらめずに勝ち点3を奪うメンタリティーがあったから」と言い切った。

 前半3分にGK曽ケ端のミスから先制点を許し、同終了間際には追加点を奪われた。「ウチのミスで失点して、最悪の立ち上がりだった」と中田が振り返れば、主将のMF小笠原も「自分たちできつくしてしまった」と話したほど、前半は全体的にミスを連発してしまった。

 DF内田に加え、韓国代表DFイ・ジョンスも移籍で放出。主力2人が抜け、わずかな狂いが生じていた。そんな敗色濃厚の雰囲気が漂う中、鹿島を持ち直したのは小笠原が「試合中に話しながら修正できるのがウチの強みだと思う」と話す「会話力」だった。

 普段以上に試合中から小笠原、中田、岩政、伊野波らが集まり修正点を話し合った。後方からのロングボールが多かった攻撃を、ショートパスを交えた形に修正した。後半途中からは岩政、伊野波に加えMF中田をDFラインに下げ、4バックから3バックに近い布陣に変更。内田放出で先発に回ったものの、ミスが多い左サイドバックのジウトンを得意の攻撃に専念させ、攻守の安定を図った。

 イ・ジョンスに代わって4カ月ぶりのリーグ戦先発となった伊野波は「話し合いながらピッチの中で修正できた」とキッパリ。3連覇中の大人の集団らしい対応が、04年9月11日のC大阪戦以来5年10カ月ぶりとなる2点ビハインドからの逆転勝ちを生んだ。

 2位清水との勝ち点は3差に広がり、リーグ戦4連勝。だが、小笠原は「2点差つけられたことを顧みないとダメ。いつも逆転できるわけじゃない」と反省を忘れなかった。鹿島が着々と4連覇への下地を築き上げる。【菅家大輔】