<J1:名古屋1-0東京>◇第17節◇8日◇味スタ

 名古屋の日本代表DF田中マルクス闘莉王(29)が、試合終了寸前に劇的な決勝ゴールを決めて、東京に競り勝った。後半ロスタイム、W杯南アフリカ大会でチームメートだった東京DF今野泰幸(27)とのゴール前の競り合いを制し、頭でシュートを押し込んだ。7月のW杯の帰国会見で今野が闘莉王のCMの決めゼリフ「集まれ~」をまねて以来の“因縁”対決を制し、チームも首位清水に勝ち点1差の2位で前半戦を折り返した。

 残り1プレーだった。左からの三都主が上げた柔らかいクロスが、ファーサイドに待つ闘莉王の頭に届いた。東京DF今野との争いを制し、闘莉王が頭から体ごとゴールに投げ出すように、ボールを押し込んだ。時間は後半ロスタイム。49分を指していた。

 劇的な展開に闘莉王はゴール裏へ一直線に走った。両手を上げて小躍りし、大きなアクションで仲間を呼んだ。これこそ「集まれ~」だ。大手ファストフード店のCMで演じたリーダーの役割、そのままの存在感で引き分けを勝利に変えた。

 闘莉王

 ボクは神様を信じている。1回も裏切られたことがない。あそこにボールが来るなんて…。引き分けの試合を勝ちにするのもボクの仕事。あの1点は、みんなの気持ちがつないでくれたゴール。

 東京戦は特別だった。闘莉王が欠席した、W杯の帰国会見で、今野が岡田監督からのムチャ振りにこたえ、闘莉王のCMでの決めゼリフ「集まれ~」をまね大ウケ。その後も携帯電話の着ボイス化されるなど話題をさらった。留守の間に、ネタにされた闘莉王は7日の練習後、「勝たせてくれれば、許してやる。コンちゃん(今野)がマークについてくれたらいいのに」と話していた。イメージ通りの展開で、ヒーローになった。さらに、うなだれる今野の目の前で、正真正銘の「集まれ~」まで披露。役者が違った。

 ピッチを離れれば心優しい男。今野について「いや~、仲いいんでね」と気遣い“遺恨”を笑って水に流した。前半戦を終え2位と悲願リーグ制覇が狙える好位置につけるが「まだ早い。下からコツコツと勝ち点を積み上げるだけ」。次節14日は古巣浦和との初対決。燃える材料には事欠かない。主役は、闘莉王以外にいない。【八反誠】