<J1:東京1-0名古屋>◇第32節◇23日◇豊田ス

 15位でJ2降格危機の東京が王者名古屋を1-0と撃破し、J1残留に王手をかけた。前半27分、FW大黒将志(30)が絶妙なループシュートで先制。その後は、高さを誇る名古屋の攻撃陣を体を張った守備で防ぎ、7戦ぶりの無失点で、貴重な勝ち点3を獲得した。23日、勝ち点1差で16位の神戸が大宮と引き分けたため、同差は3に開いた。次節のホーム山形戦に勝ち、神戸が引き分け以下なら、J1残留が決定する。

 王者撃破に死力を尽くした。試合終了のホイッスルが鳴ると、DF今野、椋原はグラウンドにひざまずき、MF米本は右足をけいれんさせて倒れ込んだ。先制ゴールの大黒は「ヨネ(米本)が決定的なシュートをかきだしてくれたり、ケネディを今ちゃん(今野)が抑えてくれたり、そういうみんなの頑張りでつかんだ勝利です」。米本は「死にそうになっても勝ち点3の方が大事だった」と振り返った。

 優勝後、凱旋(がいせん)試合となった王者に臆(おく)せず挑んだ。主軸のFW平山を累積警告で欠く中、大熊体制後、スタートからは初の4-2-3-1システムを採用。今季初めてトップ下で先発したMF梶山を起点に、何度もチャンスをつくった。

 1-0で迎えた前半40分には、相手MF小川がフリーで放ったシュートをゴールライン上でカバーしていた米本がヘディングでクリア。同ロスタイムにはDF森重が相手DF闘莉王を激しくマークし、激高した闘莉王に突き飛ばされる場面もあった。大熊監督は「(DFは)みんなでカバーし合って、集中していた」と評価した。

 準備も入念だった。22日の練習では平山を仮想ケネディに見立て、戦術練習を繰り返した。後半23分、前線に上げた闘莉王とケネディとの長身2トップも封じ、その成果を出した。今野は「ロングボールを競った後のこぼれ球のカバーを意識して守った。ものすごくでかい勝ち点3」と話した。次節のホーム山形戦で、J1残留を決める。【塩谷正人】