<J1:川崎F1-1仙台>◇最終節◇4日◇ユアスタ

 過酷なJ1サバイバルを生き抜いた。仙台が川崎Fと1-1で引き分け、勝ち点1を獲得。自力で残留切符をつかみ取った。前半に先制されたが、後半ロスタイムにMF梁勇基(28)の右CKから、DF渡辺広大(24)の同点ヘッドが生まれた。7シーズンぶりのJ1は10勝9分け15敗の勝ち点39。14位で幕を閉じた。

 勝って締めくくることはできなかったが、今季の功績が色あせることはない。残留を、もぎ取った。0-1の後半ロスタイム3分。MF田村のシュートが阻まれて得た右CK。今季最高の「仙台レッツゴー!」コールに包まれ、ユアスタが燃えさかる。MF梁のキックにDF渡辺が頭で合わせると、ふわりと希望の虹のような軌道を描き、ゴールに吸い込まれた。選手、スタッフ、サポーターが一体感を持って手に入れた「残留」という宝物だった。

 7季ぶりのJ1は出足快調だった。開幕連勝で首位に立ち鹿島も下す。だが、直後の第6節の清水戦に1-5で敗れて暗転し、14戦勝ちなしの泥沼にはまりこんでいく-。「負けても紙一重。解任は覚悟したけど不協和音はなかった」と手倉森監督。不安と向き合っての前半戦は、3勝5分け9敗の降格圏16位に沈む。

 監督は、2点先取から逆転負けした8月1日の川崎F戦(2-3)後に「下位は3、中位は1」と全クラブを挙げ、狙う勝ち点を示した。今季最長の1時間超しゃべり倒して「リアリストになろう」と現実路線に引き戻した。選手も必死だった。猛暑もあり「運動量が落ちる後半の失点が多い」と同10日の選手会で分析。「監督は信じる。ただ言うべき時もある」。約2時間から1時間半への練習短縮を申し入れ消耗を防ぎ、同22日の大宮戦に3-0で走り勝って泥沼を抜けた。負ければ浮上した水面下の監督交代劇を封じ込めた。

 残留を決めたこの日、手倉森監督は「残りました」と大きく息を吐き出した。「超ポジティブ男」も苦しんだ1年だった。9月19日の山形戦前。酒が飲めず、選手の前で「視線が宙をさまよってます」と指摘された日もある。胃も痛い。試合前夜、決心して布団に入った。「負けたら、辞める」。史上最悪のダービー4連敗を喫したら辞意を伝える背水の陣を乗り切った。

 現実路線で下位に勝てた後半戦は、7勝4分け6敗と勝ち越した。「J1残留は(昨季の)J2優勝より厳しい」と監督。前回のJ1はMF岩本やMF森保ら元代表頼みだったが、今は違う。監督、選手、全員が成長してつかみ取った。この経験が来季の躍進を支える財産になる。【木下淳】