横浜FCのFWカズ(三浦知良、43)が11日、同クラブ残留を決めた。カズはこの日、横浜・保土ケ谷区のクラブハウスで岸野靖之監督(52)と2時間話し合い、来季の戦力として必要とされていることを確認。揺れた気持ちを振り返りながらも「現実的な判断」として残留を明言した。契約は詳細を詰めてからになるが、現状維持となる推定年俸3000万円の1年契約で合意。今季サッカー人生最少の出場時間188分だったキングは、44歳で迎えるプロ26年目にさらなる飛躍を誓った。

 クラブハウスから出てきたカズは、晴れやかな表情で言った。「結論から言うと、残留します」。岸野監督と2時間、腹を割って話し合った。「今までで一番自分の考えを伝えた。75、いや80%は言った」。岸野監督から来季への考えや自身の使われ方を聞いて、去就問題に決着をつけた。

 シーズン前半はケガがあったとはいえ22分間だけの出場。「このチームにいても仕方ない」と考えたのは9月だった。Jリーグより下のレベルでのプレーも考えた。11月にはブラジルからのオファーもあった。10月からは4試合連続交代出場したが、11月下旬から再び3戦連続ベンチ。「横浜FCが最優先」と言いながらも心は揺れ続けた。

 きっかけは、4日の最終節大分戦だった。「ゴール以上に90分間走り続けられたことが大きかった。自信になったし、新しい発見もあった」。ブラジルからのオファーが、プレーとともにジャパンマネーを期待したものであることも分かった。「横浜FC残留が現実的だった」と話した。

 クラブへの愛情もある。専用練習場もクラブハウスもないチームの環境を変え、J1を経験するクラブにした自負もあった。44歳で迎える来季。「43歳から1つ年をとるだけ」と笑った顔にはシワも目立つ。「さらにレベルアップしたい」と言った。