ブンデスリーガの名門Bミュンヘンへの移籍が決定的な日本代表FW宇佐美貴史(19=G大阪)が、移籍後に同1部のニュルンベルクに貸し出される計画があることが6日、分かった。各国代表がそろうBミュンヘンでは出場機会を得ることが難しいため、合流後に力量を見極めた上で今夏、もしくは冬の移籍市場で同クラブにレンタル移籍する見通し。アーセナルからフェイエノールトへ期限付き移籍中の宮市亮(18)と同じ育成プランで、欧州でステップアップする。

 19歳宇佐美の欧州での育成プランが判明した。現在はBミュンヘンと交渉中だが、移籍決定後に他クラブへ期限付き移籍する計画が進んでいる。関係者は「複数クラブの話がある。1つがバイエルンなのは間違いない。それに連動してもう1つ具体的な動きがある」と明かした。Bミュンヘンは南ドイツのクラブと業務提携を結んでおり、出場機会の少ない選手を貸し出している。その1つが10-11年シーズンのリーグ6位ニュルンベルクだ。

 フランス代表MFリベリ、ドイツ代表MFミュラー、オランダ代表FWロッベン…。宇佐美と同じ位置に豪華選手がそろうBミュンヘンでは、定位置獲得どころかベンチ入りすら難しい。成長期の19歳が「飼い殺し」になる危険性すらある。そのため、クラブ側は合流後、数カ月かけて宇佐美の現在の力量を見極める方針だ。スター選手との練習で今後の成長具合を総合的に判断。その上で、ベンチ入りも不可能となれば、早ければ今夏、もしくは今冬の移籍市場でニュルンベルクへ期限付き移籍する。

 同世代の宮市と同じ育成方式だ。プレミアリーグのアーセナルが保有権を持つ宮市も、出場機会を得るため10-11年シーズンはオランダ1部フェイエノールトに期限付き移籍した。そこで定位置をつかみ、一気に急成長した。

 今回のキリン杯で日本代表に初招集された宇佐美も、まだA代表の練習についていくのも必死の状態。今日7日のチェコ戦出場も微妙だ。同様にBミュンヘンでも試合に出場できない状況が続くより、同じドイツ1部ニュルンベルクで常に試合に出場していた方が、よりいい環境になる。

 宇佐美はキリン杯終了後、8日に大阪に戻り、G大阪側も含めて今後についての話し合いを持つ。この日の練習後、本人は移籍に関する質問には一切、応じなかった。関係者によると、BミュンヘンとG大阪側とのクラブ間交渉では移籍金や条件面で若干の隔たりがあるといい「決まるまでは、まだ少し時間がかかるだろう」と説明。さらに「他のクラブからのオファーも完全に消えているわけではない」という。Bミュンヘンとニュルンベルクの他にも、セリエAに昇格するアタランタやパレルモも獲得に動いており、最終的に移籍が正式決定するのは6月末までずれ込む可能性が高い。

 14年W杯ブラジル大会のエース候補が、欧州で着実にステップアップしていくために。試合出場を第1条件として、慎重に「働き場所」を見極めていく。