<なでしこL:岡山湯郷1-0伊賀>◇24日◇岡山県美作ラグビー・サッカー場

 小さな町が「なでしこパニック」になった。なでしこジャパンのMF宮間あや(26)とGK福元美穂(27)が所属する岡山湯郷は、ホームで伊賀と戦った。人口3万2000人の岡山県美作(みまさか)市で、会場の美作ラグビー・サッカー場にはクラブ史上最多の3432人。湯郷温泉街での人力車パレードも、約700メートルに3000人が詰めかけた。チーム関係者は「神戸は100万人以上の大都会。こちらは町の10分の1が来ました」と妙な対抗意識を燃やしながら、大粒の汗を流していた。

 収容2500人のホームスタンドは満杯で、芝生席まであふれた。かき氷400人分は試合前になくなり、350本の飲料も開始すぐに完売。昨季は平均観衆935人だっただけに、宮間も「想像以上で驚いたと同時に感謝します」と頭を下げた。試合ではボランチでフル出場し、W杯で見せた的確なFKも披露。1-0の勝利に貢献した。

 美作は、ロンドン五輪アジア最終予選の事前合宿地として濃厚だ。すでに地元観光協会では「なでしこの湯」の命名や浴衣の贈呈、無料足湯でのイベントなどを企画。「サッカーと温泉の町」として売り出そうと活気づいている。宮間は「フィーバーって結構消えていっちゃうので、これからも魅せていきたい」と温泉街のマドンナとして、気合十分だった。【近間康隆】