前日本代表監督の岡田武史氏(55)が、中国スーパーリーグの杭州緑城の監督に就任する可能性が高くなった。6日に中国に渡り条件面などの交渉を行い、合意すれば正式にサインを交わす。

 岡田氏は札幌、横浜に加え日本代表の監督を2度務めている。日本代表では当時の加茂周監督の成績不振による更迭直後に監督に就任、そして前任のオシム監督が病魔に倒れた直後にも日本代表を任されている。札幌、横浜でもクラブの立て直しと強化を求められており「再建屋」でもある。

 徹底して自分の哲学を貫く手法だ。03年から監督に就いた横浜では、就任の際にクラブ幹部がスポンサーとの付き合いで選手を会食に呼ぶ習慣を否定。「フロントと現場の分離」を強く訴え、今までの慣例を取り除き、選手をピッチ上に集中させる環境を整えた。

 フロントとの間で意見が食い違った選手補強の編成面でも、自身の希望を最優先する土壌をつくった。スタッフも信頼の置ける人材を招聘(しょうへい)。選手ともコミュニケーションを取りつつ、なれ合いにならない距離を保ち、選手起用では温情抜きで冷静な判断を下すスタイルだった。

 杭州緑城の監督に就任すれば、初体験の海外での指揮となる。言葉や風習の違い、民族性の壁、クラブやリーグ運営での不慣れな面など、さまざまな苦難がある。岡田氏がこれまでの「再建屋」の手腕をどのように発揮するか注目される。【菅家大輔】