マンチェスターUの香川真司(23)が、来年7月に凱旋(がいせん)試合を行うことが20日、分かった。同クラブが、来年7月中旬から下旬にかけてアジアツアーを計画。6月に移籍した香川が、マンUの一員として初めて日本でプレーすることになる。現在、エージェントを介して浦和と交渉しており、年内には方向性が出る見込み。同時期、日本代表は韓国で開催される東アジア杯に出場するが、日本協会が強制招集できない大会のため、凱旋試合が可能となった。

 香川が、赤い悪魔の一員として、日本の赤い悪魔と「悪魔対決」する。移籍1年目を終える来年夏、マンUの赤いユニホームで、初めて日本のピッチに立つことが判明した。マンUは、今シーズン終了後、アジアツアーを計画。日本、韓国、中国、香港、オーストラリアでプレシーズンマッチを行う。現在、同クラブの興行権を持つエージェントが、日本を含む4カ国、1地域の対戦相手を選定して交渉に入っており、日本では浦和が指名された。

 同時期は、日本代表が活動するため、浦和は香川の参加可否を日本協会に打診した。日本協会からは「東アジアカップは、FIFAのルールで、協会から選手の強制招集はできない。クラブに拒む権利がある」との返答をもらっており、マンU側に確認したところ「特別なこと(ケガなど)がない限り、香川はアジアツアーに参加します」との確答を得た。

 7月中旬~下旬は、日本代表の活動があり、Jリーグは約2週間の中断に入る。そのため、同時期に多くのクラブが、欧州のビッグクラブを中心にプレシーズンマッチを計画している。バイエルンやリバプールなどもマッチ市場に名前が出ているが、今回の目玉は、香川が所属するマンUで、チーム選択権のある外国のエージェントの目には、集客力抜群でJ屈指の人気を誇る浦和が適合クラブと判断されたようだ。現在、複数のJクラブが、マンUと浦和の交渉が破談になった場合を想定し、第2候補として立候補している。

 浦和は現在、チーム内で協議を重ね、さいたま市とも相談している段階。実現すれば、日本代表が今回のW杯最終予選のホームで使用している埼玉スタジアムでの開催となる。

 香川は、10月23日のチャンピオンズリーグ(CL)ブラガ戦で左ひざを負傷。W杯アジア最終予選のオマーン戦(14日、マスカット、2-1)は招集されなかった。6月にマンU移籍後、代表の青いユニホームでは日本でプレーしたことはあるが、同クラブの赤いユニホームを国内で披露するのは、初めてとなる。

 ◆マンチェスターU

 1878年、英マンチェスターを拠点に鉄道労働者によって「ニュートン・ヒース・ランカシャー・アンド・ヨークシャーレイルウェイ」として創設。1902年にマンチェスターUに名称を変更。70年代から低迷期を迎えたが、86年ファーガソン監督の就任に伴い名門復活。主なタイトルは、欧州CL3回、国内リーグ19回、FA杯11回、リーグ杯4回、欧州カップウイナーズ杯1回、欧州スーパー杯1回、クラブW杯(前身のトヨタ杯含め)2回。主な選手はFWルーニー、ファンペルシー、DFファーディナンド。本拠地オールドトラフォード(7万5811人収容)。

 ◆主な「凱旋マッチ」

 95年6月に三浦知良(カズ)が所属するジェノアが、カズの古巣川崎(現東京V)と親善試合を行った。以後、99年6月には中田英寿のペルージャがC大阪と対戦。中田はこの試合後、ローマに移籍したため、これがペルージャでの最終戦となった。小野伸二は03年6月にフェイエノールトで古巣浦和と、08年7月にはボーフムの一員で横浜と戦っている。06年8月には中村俊輔のセルティックが、古巣横浜と対戦した。なお日本人選手とは別に、これまでユベントス、マンチェスターU、Rマドリード、バルセロナ、Bミュンヘンなどビッグクラブがプレシーズンツアーとして来日し、Jクラブと対戦している。