<女子高校サッカー:常盤木学園1-0作陽>◇準々決勝◇13日◇ヤマハ

 遅れてきたエースがいきなり魅せた。史上初の3連覇を狙う常盤木学園(東北1・宮城)が作陽(中国2・岡山)に競り勝った。後半2分、左足首のケガから復帰して今大会初出場となったU-19日本女子代表FW白木星(あかり=2年)が決勝ゴール。6大会連続の決勝進出をかけ、明日15日の準決勝は藤枝順心(東海1・静岡)と対戦する。

 ペナルティーエリア右手前でパスを受けた時、白木はゴールに背中を向けていた。それでも「ゴールまでのイメージはできていました」という。実際、縦への突破から右足を振り抜いて逆側の左サイドネットにたたき込むまで、ほとんど無駄がなかった。自らのイメージとプレーを見事に一致させ、決勝点につなげた。

 悔しさを糧に、研究を重ねてきた成果だ。昨年10月のU-19アジア選手権では3位以内に入れず、今年のU-20女子W杯出場を逃した。海外選手と身体能力の差も痛感。「パスをするのか、ドリブルをするのか、ボールが来てから判断していては遅い」と結論づけた。それからは思考のスピードアップ、ワンタッチプレーの精度を向上させるべく、バルセロナなどスペインリーグの映像に没頭する日々。170センチ、62キロという日本人としては恵まれたフィジカルに甘えることなく、世界に通用する“速さ”を追求してきた。

 7日の練習で左足首を痛め、過去2試合はベンチ外。治療と並行して仲間の戦いをチェックし、予行演習は重ねていた。ただ、ゲーム勘までは戻らず「前半は自分のプレーができなかった」。チームが今大会初めて前半を無得点で終えると、ハーフタイムに阿部由晴監督(51)から怒声が飛んだ。「いつも通りにやれよ!」。そして、目を覚ましたかのように後半開始2分でゴール。同監督も「全体的には『何やってんだ、この野郎』というくらいの出来。でもスター選手は小さな舞台には弱いけど、大舞台には強いからね」と独特の言い回しでたたえた。

 1年生だった前回大会も主力として優勝に貢献。2回戦で敗れた昨年8月の高校総体は代表で不在だっただけに、選手権への思いは強い。「3連覇は初めてですし、次の世代につなぐためにもこの大会は大事だと思ってます」。日本女子サッカー界期待の星が、ここから本領発揮だ。【亀山泰宏】

 ◆白木星(しらき・あかり)1996年(平8)11月4日、札幌市生まれ。伏古北小3年時、伏古北FCでサッカーを始め、5年からSSS札幌。札幌札苗中ではノルディーア北海道に所属。好きな選手はFWメッシ、MFイニエスタ(ともにバルセロナ)、FWロッベン(Bミュンヘン)。家族は両親、兄、弟。170センチ、62キロ。血液型A。