<プレナスなでしこリーグ:仙台1-0AS埼玉>◇第4節◇20日◇石巻市総合運動公園フットボール場

 仙台レディースがAS埼玉を破り、ホーム3連勝を飾った。後半25分にMF上辻佑実(26)が右足で決勝ゴール。石巻市出身の千葉泰伸監督(43)は、就任1年目の12年から地元開催3連勝となった。

 被災地石巻に、今年も勝利の歌が響き渡った。仙台レディース創設1年目の12年から3戦3勝。1252人のサポーターに笑顔を届けた。年1度の凱旋(がいせん)試合を制した千葉監督は「石巻の方たちに勝利をプレゼントできたのが一番良かった」と喜んだ。

 監督の思いに選手たちも応えた。前半から球際に強い相手に1歩も引かず、圧倒的に攻め込んだ。再三のチャンスを決められずに迎えた後半25分、中央でこぼれ球を拾った上辻が狙い澄ましたミドルシュート。鮮やかな一撃で均衡を破った。チーム最多タイのシュート4本を放った不動の司令塔は「ハーフタイムに監督から『確実に決めよう』と指示があったので、決まってホッとしました」と笑顔を見せた。

 故郷にチームの成長を見せたかった。監督は試合開催にあたって15日に石巻市長を表敬訪問した際、海岸沿いを歩いた。変わり果てたままの姿に「見た目はきれいになったけど、何もなくなったということ。悲しいですよ」。通っていた小、中学校も取り壊された。試合会場周辺には新たな住宅も建ったが、道路を1本隔てれば3年前と変わらず仮設住宅が立ち並んでいる。石巻のために何ができるか。答えは1つだった。「全力を尽くして、勝つ姿を見て喜んでくれたらいい。そこでしか貢献できないから」。有言実行の勝利だった。

 今季3度目の1-0勝利で、2位に浮上した。指揮官は「(前節で)日テレに負けた後、ここから15連勝しようと言ってきた。その力はあると思う」。次に石巻へ届けるのは、優勝報告しかない。【鹿野雄太】