J2横浜FCのFWカズ(三浦知良=44)が、海外でも支援の輪を広げる。30日、Jリーグ選抜として日本代表と対戦した「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ

 がんばろうニッポン!」から一夜明けて帰京。途中出場の後半37分にゴールを決め、カズダンスで被災地にエールを送った試合後に、早速ブラジルから慈善試合出場のオファーがあったことを明かした。日程の問題があり出場は未定だが、今後は国内だけでなく、海外での活動にも前向きな姿勢をみせた。

 「祈りのカズダンス」は、遠く地球の裏にまで届いていた。日本だけでなく、世界のサッカー界の思いを1つにするゴールを決めた試合を終え、東京駅に到着したカズが、ブラジルからのオファーを明かした。「ジーコやアルシンドが行うチャリティーマッチに来てくれないかと、連絡がありました」。

 元日本代表監督ジーコ氏が発案し、元鹿島のアルシンド氏、ジョルジーニョ氏らも参加する「東日本大震災復興支援チャリティー戦」。かつてブラジルでのプロ時代に所属したクリチーバFCの関係者を通じて、4月7日の試合への電撃オファーがあった。

 日程の問題を考慮して、「チームのスケジュールもある」と即断はできないが、正式なレターを送ってもらえるように依頼したという。世界のサッカー界に人脈を持つカズ。93、94年にはイタリアで行われた慈善試合に、世界選抜の一員として出場した経験もある。前夜の活躍はFIFAの公式ホームページでも「Kazu

 MIURA」の名前でトップページで扱われた。今後は他国からも慈善試合参加の要請も考えられるが、「Jリーグをまずはしっかりやらないと。その中で許されるならば」と前向きな姿勢をみせた。日本だけでなく、海外に赴き支援を訴えていく。

 前夜の活躍は、世界だけでなく、しっかり被災地にも届いていた。仙台地区での視聴率は25・4%と、関東地区の22・5%、関西地区の17・6%(ともにビデオリサーチ調べ)を上回った。3地区ともに最高視聴率を記録したのは、後半30分以降。仙台地区で30・1%を記録するほど、人々を引きつけたのは、間違いなく後半17分からピッチに立ったカズだった。ゴールの瞬間には仙台市内のスポーツバーでも笑顔があふれた。

 「これで終わりにしないように」と表情を引き締めるカズ。28日には日本協会の小倉会長に、東北のサッカー少年らへの支援を直談判した。現在、日本プロサッカー選手会と同協会は、日本代表の勝利給の問題などで対立構造があるが「誤解もある。なかなかコミュニケーションがとれなかったけど、サッカー界が1つになることが必要」と橋渡し役も買って出た。

 1つのゴールで、サッカー界の思いを結実させた“キング”。復興へ向けて、国内外でさらなる支援を求めていく。【阿部健吾】