黒字に戻すには、勝利しかない。浦和が、クラブ創設19年目にして初の赤字に転落した。20日にさいたま市内で株主総会を開き、10年度の事業報告が承認された。ピークだった07年の後、3年連続の減収になった。前年度比約8億円の減収となった売り上げ約56億円に対し、費用も前年度比で約5億円を圧縮したものの、売り上げの伸びが鈍化したため最終的に2億6000万円の赤字となった。

 入場料収入の減収が、最大の要因だ。全収入の約40%を占めるが、チームの成績と比例して“右肩下がり”。昨季はホームゲームで7勝7敗3分けと振るわず、低迷。さらにグッズ収入も減り、赤字につながった。04年まで、親会社であった三菱自動車と損失補填(ほてん)契約を結んでいた。05年に解除し、自立した経営に推移して以来黒字を保っていたが、6年目でついえた。

 正式に留任が決まり、就任3年目の橋本光夫社長(61)は「3年連続で減収し、経費削減に取り組んだが、いい結果に結びつかなかった。チームの力を生かせず申し訳ないと思っている。責任を重く感じている」と、話した。

 橋本社長は選手、スタッフに直接、赤字について報告をした。ペトロビッチ監督(45)は「我々が結果を残せばサポーターはスタジアムに戻ってくるから、がんばろうと話した。サポーターは戻ってきてくれたら、大きなレッズになる」と、力強く話した。

 東日本大震災の影響でホームが2戦減り、厳しい状況は続く。しかし、地元密着の活動でサポーターと歩む姿勢は変わらない。育成費や強化費は削らず、あくまでも頂点を目指す。昨年度を大きく上回る新生浦和に、期待がかかる。