J2札幌の新外国人MFアンドレジーニョ(26)が、デビュー弾で“英雄列伝”入りを狙う。チームは21日、札幌・宮の沢で紅白戦を行い、アンドレジーニョは主力組トップ下でプレーした。リーグ再開戦となる明日23日の湘南戦(札幌ドーム)は先発出場が濃厚。過去デビュー戦で得点した札幌の助っ人はバルデス、エメルソン、ウィルらクラブを代表した助っ人ばかり。札幌を愛する背番号11が、初陣からブレークする。

 アンドレジーニョが、札幌初陣での1発を宣言した。「どんな形でもチームが勝つために貢献したい。助っ人として当然、得点に絡むプレーを見せたい」。札幌の助っ人で初陣ゴールを挙げたのはバルデス、エメルソンらクラブを支えてきた英雄ぞろい。開幕愛媛戦は右内転筋痛のため大事を取ったが、もう問題ない。得意の高速ドリブルと、トリッキーなパスでチームを勝利に導く覚悟だ。

 精神的なコンディションも万全だ。前日20日にアンドレイア夫人(32)と1歳の長女アナ・ルイザちゃんが来日した。「1人でいる間はメンタル的にも寂しい部分があった。家族がそばにいることで、食事の面を含めていいことばかりだよ」。これまでは外食が多く、既に家族が来日していたチアゴやブルーノが心配して食事に招いてくれることもあった。これからは家族水入らずで食事ができる。選手として、これ以上のプラス要素はない。

 実は家族を招く際、迷った時期もあった。3月11日に東日本大震災が発生。仙台FWマルキーニョスら日本でプレーするブラジル人選手の帰国が相次いだ。1歳の子どもを抱えるだけに夫人が心配した。しかし、日本の状況を確認し「北海道は問題ないと説明したら納得してくれたよ」。徳島時代から日本人の礼儀正しさを尊敬し、今季も中国、韓国クラブからオファーがあったが、真っ先に札幌を選んだ。「日本愛」が家族来日の決め手になった。

 前線での守備に課題は残るが、石崎監督はこの日の練習後「アンドレでいけるところまでいく」と先発起用を示唆した。徳島時代の08年も、夫人が初めて観戦した8月9日甲府戦でJ初得点を決めた。「ウルグアイでも中国でも、家族が最初に見に来たときは決めてるんだ。土曜日も期待してくれよ」。初陣ゴールで、新たな助っ人伝説をつくりにいく。【永野高輔】