<J1:甲府1-1神戸>◇第7節◇23日◇中銀スタ

 ホームでリーグ再開戦を迎えた甲府が、J1では4年ぶりとなる勝ち点を獲得した。神戸に先制されながらも、セットプレーで同点に持ち込んだ。東日本大震災で甚大な被害に見舞われた岩手県釜石市出身の三浦俊也監督(47)にとっても何よりうれしい勝ち点1。三浦監督は試合後「これで満足はしていません」と冷静に振る舞っていたが、実は故郷へ強い思いを込めた試合だった。

 指揮官の選手交代が的中した。後半から投入したFWパウリーニョが蹴った右CKにゴール前でDFダニエルが反応。右足シュートが貴重な同点弾となった。

 三浦監督は先週末、震災後、初めて釜石に戻った。「(地震後)実家のことを思わない日はなかった」。実家は壊滅的な被害は免れたが、支援物資を届け、地元の高校にスパイクやボールを提供した。被災者との触れ合いを通して「自分のことをしっかりやらなければいけないとスイッチが入った」。強い気持ちで臨んだリーグ再開戦だった。

 甲府のJ1リーグ戦での勝ち点獲得は、07年11月18日の大宮戦以来。ブラジルから来日3年目でJ1初ゴールのダニエルは「監督のサッカーをもっと理解し、次は勝ち点3を取る」。指揮官の故郷とサポーターにさらなる喜びを届ける決意を示した。【松田秀彦】