J1の怖さを思い知らせる。山形は今日3日、ホームNDスタで首位の柏と対戦する。J2からの昇格組ながら、開幕3連勝と勢いに乗る相手に対し、小林伸二監督(50)は「もう少し多く、攻撃の色が出せると思う」。17位が演出する“肩透かし”で首位をいじめる。

 狙い目は前がかりに来るDFの裏を取ること。前節G大阪戦(4月29日)でみせた「FW長谷川のタメ→DF宮本へのパス」のように、手薄になったゾーンを突いてゴール前へ。「穴はある。大穴が。でもそこは柏の攻撃の武器でもある」。堅守のスタイルは崩すことなく、弱点をえぐる。

 “先輩”として、後輩を「かわいがる」ことも大切。09年、昇格初年度だった山形は5節を終えて3勝1敗1分けで2位につけた。誰しも予想できなかった躍進劇。「J1でも行ける!」と一気に上を見上げた。その瞬間から勝てなくなった。6節以降は1勝7敗3分け。降格圏の16位まで落ち込んだ。当時を知る小林監督は「J2と違って、本当にどこが勝つかわからない。勢いだけじゃ、勝てないんだから」と力を込めた。「強襲」と「教訓」。柏がイケイケで来るなら、足をすくう小石になってみせる。【湯浅知彦】