「黄門様の葵の紋所」で宿敵撃破と集客をもくろむ。J2水戸が水戸藩の家紋「葵」のエンブレム付きちょうちんをチケット代わりに販売する。1個3000円で、27日から水戸が運営するフットサル場「フットパルケ水戸」などで販売予定。ちょうちん1個持参で6月12日の富山戦、ドル箱カードと位置付ける同25日の東京戦(いずれもホーム)が観戦できる。

 沼田邦郎社長(46)は「スタジアムの改修も遅れる中、新たな集客のアイデアとしてやってみようと。葵の御紋の前では、敵はひれ伏すでしょ」と一石二鳥を目指す。水戸のエンブレムは徳川御三家、水戸藩の葵の家紋。長寿番組「水戸黄門」で、助さん格さんがここぞという場面でつきつける、あの「三つ葉葵の紋所」だ。ちょうちんは直径12センチ、高さ25センチで1000個販売。サポーターに会場で掲げてもらい、相手を圧倒する作戦だ。

 水戸の経営状況は厳しい。1月にJリーグから3000万円を借り入れた。大震災による中断で、4月9日にホーム開催予定の千葉戦が延期。NHK水戸の放送権料、冠スポンサー料、入場料収入など約1000万円を棒に振った。4月の株主総会では1600万円の赤字を公表。屋根や照明の一部破損により、本拠地はメーンスタンドが使用できず、1万2000人収容の会場は約5000人が上限。工事期間は半年。目指す東京戦での1万人超えは絶望的となった。

 それでもクラブは4、5月に水戸商工会議所、水戸信用金庫とスポンサー契約を結ぶなど奮闘努力中。集客でも新たな企画を試みた。また、ちょうちん1個販売で、100円を震災義援金とする案も検討している。水戸が「黄門様の葵の紋所」で、逆風に立ち向かう。【塩谷正人】