櫛引がビッグネーム連破で“出世”を図る。昇格圏内2位のJ2札幌は29日、札幌ドームサブグラウンドで紅白戦を行い、新人DF櫛引一紀(18)が主力組センターバックに入った。10月2日の横浜FC戦(国立競技場)は6戦連続の先発出場が濃厚だ。横浜FCには元ブラジル代表FWフランサ、8日の天皇杯水戸戦(札幌厚別)は元日本代表FW鈴木隆がいる。大物ストライカーを連続で封じ込み、残り163分に迫ったプロA契約条件900分到達を狙う。

 北の怪物クッシーが、先輩ストライカーを飲み込み巨大化を図る。この日の櫛引は全体練習後、村田コーチとマンツーマンでクリアの練習に励んだ。力が有り余っている18歳。クリアボールが跳びすぎて石崎監督を取材する報道陣を直撃した。若さあふれるアクシデントもご愛嬌(あいきょう)。横浜FC戦に向け「もし出られたらチーム全員で勝てるように貢献したい」と意気込んだ。

 この日の練習前ミーティングでは横浜FCのスカウティングビデオで研究。DFとして最も警戒が必要なのは攻撃の核フランサだ。「いろんなところに顔を出してくる。マークの受け渡しを注意したい」。大物を封じ2戦連続完封を狙う。

 ルーキーが着実に進化してきた。石崎監督も「課題はあるが試合に出続けることで落ち着きが出てきた」と言う。21日の東京V戦では06年W杯ドイツ大会代表FW巻を封じた。そして今度はフランサとの対決。8日の天皇杯では今季2度目となる02年W杯日韓大会代表FW鈴木隆との対戦が待っている。「テレビで見てきた人と何度も対戦できて不思議な感じ」。18歳ながらプレッシャーより戦う楽しさを感じながらプレーしているあたりが大物だ。

 フランサ、鈴木隆封じに成功すれば待望の“ご褒美”が待っている。現在、通算出場時間は737分。残り163分で基本報酬480万円以上のA契約に移行する。10月末に始まるU-19アジア選手権代表に選出されれば合宿などで同22日鳥取戦以降は長期離脱が濃厚だけに「代表で抜けてしまう前にA契約になりたい」と大台突破を見据えた。

 オフだった27日には「たまにはサッカー以外のことを考えるのもいいかな」と篠原涼子主演の映画「アンフェア」を鑑賞した。先発出場した8試合は警告ゼロと、ピッチ上ではフェアプレーがモットー。18歳が老練なベテランFWに真っ向勝負を挑む。【永野高輔】