<天皇杯:清水2-0岐阜セカンド>◇2回戦◇8日◇アウスタ

 3年目の清水MF竹内涼(20)が恩師の前でデビュー戦ゴールを決めた。東海社会人リーグのFC岐阜SECONDとの対戦で、序盤は守備を固める相手に苦戦したが、前半44分に竹内がDF辻尾の右クロスを頭で合わせ先制した。同ロスタイムには竹内を起点に最後はFW大前元紀(21)が追加点。スタンドで観戦した元清水FWで浜松開誠館・青嶋文明監督(43)も「目の前で得点まで決めてくれて幸せです」と、教え子の活躍を喜んだ。

 「2年半以上、この時を待っていた」。デビュー弾を含む、全2得点に絡む活躍の竹内が意外なほど涼しい顔で言った。長いサテライト暮らしの末に、ようやくつかんだ最初のチャンスで勝負強さを発揮。ACL出場権が懸かる初戦を自分の力で好スタートさせた。

 序盤はデビュー戦の緊張からミスが続いた。「そんなに悲観しなかったし『ミスはだれでもある』と思いながらやった」と、あえて前を向いた。前半終了寸前「この時」が訪れた。右サイドからのDF辻尾のクロスに迷いなく飛び込んだ。「入った!

 って感じですかね」。ドンピシャのヘディングゴールをたたき込んだ。スタンドに向かって何度もガッツポーズを作り、体中で喜びを味わった。真っ黒に日焼けした肌と対照的な白い歯が際立った。

 見つめたスタンドで恩師も喜びをかみしめた。浜松開誠館の青嶋監督は「腐らないで一生懸命やってきたと思う。『おめでとう』と言ってあげたい」と、教え子の活躍に目を細めた。粋な祝福も受けた。後半16分に交代するMF小野からキャプテンマークを託された。「びっくりしました。『チームをまとめて、しっかりやれ!』と言われました」と、はにかんだ。

 我慢を重ね、努力してきたのをみんなが見ていた。「ずっと苦しかったし、これで満足はしていない。まだ、成功したとも思わない。これを次に生かさないと」。今年正月逃した天皇杯への道は、若武者のプロ人生とともに幕を開けた。【為田聡史】

 ◆竹内涼(たけうち・りょう)1991年(平3)3月8日、浜松市生まれ。浜松JFCから浜松開誠館中-同高を経て09年に清水入り。中学2年のときに全国中学総体で優勝し、高校時代はU-17、U-18日本代表に選出された。173センチ、66キロ。血液型A。