仙台が期待と不安に包まれた。東京電力女子サッカー部マリーゼ所属選手の移管先承認から一夜明けた14日、現場やサポーターからさまざまな意見が出た。白幡洋一社長(67)からトップチームの長である手倉森誠監督(43)に知らされたのは承認当日。社員のほとんどが直前まで知らなかった“密室”からのトップダウンに、現場スタッフは困惑の色を隠せない状況だ。

 仙台市青葉区に新たにオープンしたオーレベガルタのセレモニー会場。13日午前10時ごろだった。手倉森監督が女子チーム創設のうわさが出ているが本当かと尋ねると、白幡社長がうなずいた。Lリーグから正式発表される、わずか5時間前のことだった。丹治強化部長も含め、現場スタッフが知らないままLリーグに申請して、発表の日を迎えた。

 本社社員にも衝撃だった。白幡社長、宮城県サッカー協会、スポンサーと“密室”で交わされた決議が正式発表と同時にトップダウン。手倉森監督にも情報を漏らさない徹底ぶりに、白幡社長の女子チームに懸ける強い思いと、確固たる勝算がうかがえる。

 現場のトップはこの日、強い口調で言った。

 手倉森監督「ACLに出る覚悟があるなら、フロントもマネジメント力を高めないといけない。今季の成績を見たら選手や現場の評価を上げるべきだ。グラウンドの状況改善もできるのか。それができた上での女子チーム創設なのか」

 サポーターからも賛否の声が上がった。

 30歳男性「お金を取れると思ってやっているのか。ようやくJ1が波に乗ってきているのに経営的に大丈夫か。現在のスポンサーがサポートすると言っているが、それではJ1チームに影響が出るのでは」

 44歳男性「女子チームができれば盛り上がる。大いに賛成。活気が出る」

 現在、スタッフは少数精鋭で運営しているだけに、女子チームができれば負担増だ。だがJ1チームが満足のいく練習グラウンドも設置されない現状でスタッフ増員をし、人件費を増やすのも本末転倒。白幡社長は現場や、マリーゼの選手たちが安心できる事業計画を早急に発表する必要がある。【三須一紀】