山形・小林伸二監督(51)が28日、プロ野球とJリーグとの制度の違いに思いを吐露した。27日のドラフト会議で菅野智之投手(東海大4年)の交渉権を獲得したのは、一本釣り予想の巨人でなく、日本ハム。ルール上問題はない。しかし選手の意思が尊重されるサッカー界には、入団や移籍で菅野が見せた困惑の表情はない。広島、福岡時代に強化担当の経験がある小林監督には複雑に映った。

 小林監督

 (野球とサッカーの)どっちが良いとも悪いとも言えない。ただ選手にとっては行きたいチームに行って頑張ることがモチベーションになると思う。サッカーは自由に人の行き来ができる。お金がかかるけどね。

 入団後の移籍もサッカー界はスムーズだが、野球界はFA権取得には時間がかかる。

 小林監督

 サッカーは複数年契約を消化していなくても、相手方が違約金を払えば、好きなチームに行ける。何年か前に自由な移籍を求めるボスマン判決というのがあって、選手側が勝訴したこともあった。野球の世界は長い歴史があるし、さっきも言ったけど、どっちが良いとは言えないけど、菅野は(FAなどで)巨人に行くにはまた時間がかかるんやろ。ちょっとかわいそうやん。

 ドラフト制度は理解しながらも、サッカー人としては、ちょっと菅野に同情したようだ。【湯浅知彦】

 ◆ボスマン判決

 名前の由来となったジャン・マルク・ボスマン(46)が、所属していたRFCリエージュ(当時ベルギー2部)とUEFA(ヨーロッパサッカー連盟)を相手に起こした裁判。90年、リエージュとの契約が満了し、オファーのあったUSLダンケルク(当時フランス2部)へ移籍しようとした際、リエージュ側がボスマンの所有権を主張。流出を阻止しようとしたことに対して裁判を起こした。結果はボスマンの勝訴。これ以降、EU圏内では選手の移籍自由化に拍車が掛かった。