J2山形は29日、静岡・裾野市内でミニゲームを行い、柏から期限付き移籍中のMF比嘉厚平(21)が持ち味の鋭いドリブルをみせつけた。後方からのボールに飛び出し、細かいタッチを交えながら加速。一気にゴールへ迫り、パス、シュートの駆け引きで相手を惑わせた。「攻撃的な位置だし、得点に絡む動きを全部見てほしい」とセールスポイントをアピールした。

 今季の山形で、最もポジション争いが激しいのがサイドハーフ(SH)。現状では7人がしのぎを削る。それでも比嘉は「人数が多いのは刺激になる。自分は右も左も半々ぐらいやっていたので、どっちでも大丈夫。背が低い方なので、みんなと違うところで勝負していきたい」とライバルに“宣戦布告”。166センチと小柄だが、大胆に仕掛ける度胸と一瞬のスピードには自信を持っている。

 保有権のある柏は昨季、J1で頂点に立った。同僚たちが華やかな舞台で戦う陰で、比嘉はレンタル先のJFLブラウブリッツ秋田に身を置いた。カテゴリーは2つ下。スタジアムもガラガラだった。

 転機は昨年4月、山形との練習試合で訪れた。普段通りにサイドから勝負をかけ、幾度となく敵陣へ切り込んだ。比嘉のチャンスメークからチームが勢いづいて5-2で勝利。その姿が山形フロント陣の目に留まった。9カ月後、きっかけをくれたクラブのユニホームに袖を通した。「あの試合は気合が入っていたし、楽しみだった。格上にもやれるという自信になった」。待ち焦がれたJのステージ。必ず定位置を勝ち取ってみせる。【湯浅知彦】

 ◆比嘉厚平(ひが・こうへい)1990年(平2)4月30日生まれ。埼玉・越谷市出身。柏レイソルU-12、15、18を経て09年にトップ昇格。ユース時代の同期にU-23日本代表DF酒井宏樹ら。J1通算1試合0得点。J2出場はなし。U-15から18までの日本代表を経験。166センチ、59キロ。独身。利き足は右。血液型O。