<J1:神戸0-2東京>◇第3節◇24日◇ホームズ

 東京が開幕3連勝を飾った。2月に日本代表復帰を果たしたMF石川直宏(30)が、自陣からのカウンターで値千金の先制弾。後半ロスタイムにも新加入のFW渡辺千真(25)が移籍後初ゴールを挙げ、粘る神戸を退けた。仙台とともに無傷の3戦全勝で2位浮上。昨季、J1復帰初年度で頂点に立った柏のように、今季の台風の目になりそうだ。

 4本のパスに東京のイメージが凝縮されていた。前半32分。神戸の攻撃をDFがはね返すと、こぼれ球をMF梶山が拾った。右サイドでパスを受けた石川がドリブルで攻め上がり、再び梶山にボールを渡すと、ゴール前一直線に駆け上がった。最後は左クロスを、冷静に右足で合わせる先制弾。約80メートルの距離を4本のパスでつないだきれいなゴールだ。嗅覚を取り戻した石川は、爽やかに笑った。

 「ルーカスから、チョ~いいクロスが来ましたからね。ここに(ボールが)来るという予測があったので狙った通り。チャンスは、そう多くはなかったので(相手の)スキを逃さないことが必要でした。09年に近いものを感じますね」

 W杯南アフリカ大会を翌年に控えた09年度は、J1で自己最多15得点を挙げた。代表合宿での出来事。得点王争いを繰り広げる石川の周りに選手が集まり、即席の“点取り屋講座”が開かれた。「シュートは思い切り打ってはダメ。60~70%の力で打った方が入る」。実力派ぞろいの代表選手でさえ、感心したように聞き入った。この日、偶然にも対戦相手になった神戸MF橋本は当時「(石川)ナオの言う通りにやったら、本当に点が入るようになった」と目を丸くした。

 「今日で一昨年(10年度)の2点は上回れた。3試合で、昨年の(J2で)3点と並んだ。力まずに、自分が決めるべきところにいるから、決められる」

 前節名古屋戦(17日)から2戦3発とノリノリだ。10年度はJ1で2得点、11年度もJ2で3得点。2月に代表復帰を果たし、不振の過去2年を払拭(ふっしょく)する活躍だ。MF梶山も「いい形で点が取れた」と満足そう。目指すは昨季の柏に続くJ1復帰初年度での優勝。その中心に石川がいる。【益子浩一】