<J1:札幌2-3川崎F>◇第7節◇21日◇札幌ド

 川崎Fが「らしさ」を取り戻し、逆転でリーグ5戦ぶりの勝利を飾った。試合の流れを変えたのは、日本代表MF中村憲剛(31)だ。2点を追う後半12分に途中出場。わずか数十秒後のファーストタッチで今季初ゴールを決めると、絶妙のパスでリズムをつくった。「力まずに打ったら、入っちゃった感じ。空いたスペースもうまく使えた」。同43分にMF山瀬の逆転弾が生まれるのは、必然の流れだった。

 相馬直樹監督(40)の電撃解任から10日。中村は「バラバラにならないように選手同士で話してきた。ショック療法として、良い方向に向かうきっかけにはなっている」と言う。望月達也コーチ(49)が監督代行を務めたナビスコ杯1試合を含む3戦で8得点6失点。依然として守備に課題は残るが、攻撃的なスタイルはよみがえりつつある。

 投入直後に中村、山瀬がゴールするなど、采配が的中した望月コーチは「攻撃面で選手が特長を出してくれた。中盤と2トップの動きを新しく来る監督に見せられたのでは」と振り返った。元日本代表MF風間八宏氏(50)が、休日明けの24日から新監督として指揮を執る。中村は「ぶつかっていく精神で勝ち切ることを風間さんも望んでいるはず」と声を大にした。新体制移行前に、息を吹き返した。【榎本優】