<J1:C大阪3-2磐田>◇第8節◇28日◇金鳥スタ

 C大阪が磐田を下し、ホーム金鳥スタで今季初勝利を挙げた。日本代表と五輪代表を兼任するMF清武弘嗣(22)が1得点を含む2点に絡む活躍。ドイツ1部ニュルンベルク入りが秒読みの男がチームの連敗を2で止め、本拠地でちょぴり遅めの満開の桜を咲かせた。

 満足げな表情で両手こぶしを夜空に突き上げた。MF清武がC大阪を金鳥スタ今季初勝利へと導く先制のゴール。イメージ通りの今季2点目で、勝利への号令を鳴らした。「ボテボテだったけどうまく入ってよかった。今日はどうしても点が欲しかった」。

 前半20分、MFブランキーニョが右サイドから出したパスに走り込むと、相手DFがトラップしたボールを瞬時に奪い、右足でゴール右隅にシュート。さらに後半38分、3点目となるMFキム・ボギョンの得点につながるパスを演出した。日本代表候補合宿帰りの疲れも感じさせない動きで、90分間走り続けた。

 ドイツ1部ドルトムントで今季13得点を挙げ、リーグ連覇を飾った元チームメート、日本代表FW香川のゴールシーンの数々が頭の中に残っていた。「真司くんがいつもゴール前にいるように、自分もいようかなと思っていた。今日は相手が引いてきたので、自分はゴール前でおいしいところを狙おうかなと思っていた」。これで清武がC大阪で得点を挙げた試合は10連勝で18試合無敗。まさに勝ちを呼ぶ男だ。

 今夏のニュルンベルク移籍に向けた交渉は大詰めを迎えており、ドイツでは7月から練習合流するとも報道された。C大阪とは水面下での交渉は進んでおり、クラブ間で違約金などの条件面がまとまれば、移籍が発表される見通しだ。これまであまり海外サッカーを見ることがなかった清武も、ブンデスリーガの映像を目にし、プレーするイメージを膨らませている。

 6月にはW杯アジア最終予選も始まり、7月下旬からはロンドン五輪もあるが、立ち止まることはない。「自分たちのゴールでチームが勝てば、その後で自分たちに(代表招集という結果は)ついてくると思う。まずはチームのために勝ちたい」。五輪、W杯、そして欧州挑戦…。清武は数々の夢を胸の中に秘め、目の前の試合に全力を注ぎ続ける。【福岡吉央】