<J1:札幌0-1東京>◇第11節◇12日◇札幌ド

 五輪代表の壁は固かった-。札幌は東京に敗れ、10年ぶりJ1ホーム連勝を逃した。前半開始55秒で失点。シュートは東京と同数の11本で、相手以上に決定的チャンスをつくるも、ロンドン五輪日本代表候補の守護神、権田修一(23)の好セーブに阻まれた。昨季12月3日のJ2最終戦で打ち破ったGKに封じられ、今季3度目の完封負けを喫した。

 ゴンちゃんの壁が札幌のホーム連勝を阻んだ。試合後、ぼうぜんとする札幌の選手たち。負けたのに負けた気がしない。シュート11本を放つも無得点。決定機をつくりながら残念な0-1敗戦となった。石崎監督はゴール前での冷静さ、技術面の課題と同時に「相手のGKがかなり良かった」と、東京GK権田の好守を勝敗のポイントに挙げた。

 1点を追う前半30分、右サイドでMF古田がドリブル突破し1対1になった。至近距離から右隅を狙ったシュートは、権田の左足にはじき出された。後半11分、今度は前田からのパスをMF高木純がフリーで受ける。狙いすました右足シュートは、横っ跳びセーブされた。「外したのは僕の責任。死ぬほどシュート練習したい」とMF高木純。五輪代表候補の堅守に、勝ち点をさらわれてしまった。

 昨年12月3日のJ2最終節で、札幌は権田から2得点を奪って勝利。J1昇格を果たした。東京はJ2優勝が決まっていたが、権田は目の前で昇格を決められたことが許せなかった。「去年の悔しさがずっとあった。だから今日は何としても勝ちたかった」。歓喜の再現を狙った札幌だが、雪辱に燃える相手GKの闘志に、跳ね返された。

 再び連敗トンネルに迷い込んだ。開幕11試合で勝ち点はわずかに4。DF岩沼は「内容は良くても負けは負け。結果を出さないと」と危機感を口にした。開幕11戦で勝ち点4のクラブが残留した例は過去にない。07年に勝ち点35でぎりぎり15位に入った大宮でさえ開幕11戦で勝ち点6。札幌が勝ち点35に届かせるだけでも、残り23試合で10勝1分け以上の成績が必要になる。11戦1勝と苦しむチームには厳しい現実だ。

 10日には助っ人補強のため南米視察に赴いていた三上強化部長が帰国した。フロントもチーム力アップのため、必死で動いている。目指すJ1残留への道は険しいが、今は諦めず地道に勝利の道を探っていくしかない。【永野高輔】