<J1:鹿島1-2清水>◇第30節◇27日◇カシマ

 清水が鹿島を破り、ナビスコ杯決勝の前哨戦を制した。前半終了間際に同点にされながら、FW大前元紀(22)が直後の同44分に勝ち越しゴールを決め、4位に浮上した。

 長かった後半ロスタイムの6分間が終わった。清水が02年以来、10年間勝てなかった鬼門・鹿島スタジアムに勝利を告げるホイッスルが鳴り響く。清水イレブンは両手を突き上げ、抱き合った。アフシン・ゴトビ監督(48)も「アウェーで鹿島に勝つことは難しいこと。素晴らしい結果であり、素晴らしい達成だ。選手は、勇敢なところを見せてくれた」と、誇らしげに語った。

 前半7分。スルーパスに抜け出したDF吉田が中央にクロスを送ると、最後は待ちかまえたFW金が先制点を突き刺した。同終了間際の43分にCKから一時は同点とされたが、気持ちは折れなかった。同44分、FW金のクロスにFW大前が頭から飛び込み、決勝点をもぎ取った。90分間で放ったシュートは、鹿島より9本も少ない7本。それでも、少ないチャンスを確実にものにした。

 平岡は「流れが悪くなるような嫌な時間帯に失点してしまったけど、元紀の1点があったからまた前向きになれた」。守備陣も、その後は最後まで集中を切らさなかった。腰痛で先発を回避したDFヨンアピンの代役を務めたDF村松、GK林も最後まで体を投げ出し、相手の猛攻を最少失点で断った。

 順位は4位に浮上。ACL圏の3位浦和との勝ち点差もわずか1にまで縮まった。ゴトビ監督は「選手はこの強いモチベーションを継続してくれるだろう」と、16年ぶりのタイトルが懸かった11月3日のナビスコ杯決勝に向けて手応えを口にした。前哨戦でつかんだ「勝ち点3」は、その数字以上の意味がある。【前田和哉】