<J1:新潟4-1札幌>◇34節◇1日◇東北電ス

 屈辱の最終戦-。札幌は新潟に敗れ5連敗で12年シーズンを終えた。残留をかけた相手に主導権を奪われ、惨敗。石崎信弘監督(54)の札幌最終戦を勝利で飾ることはできなかった。勝ち点14、28敗、88失点、得失点差マイナス63は、いずれも1シーズン34試合制になった05年以降ワースト記録。後半からDF櫛引一紀(19)、奈良竜樹(19)の1、2年目コンビでDFラインを構成も、来季に課題を残す結果となった。

 新潟の雪は冷たく降り積もった。身を切るような風とみぞれの中、札幌は前半8、43分と2失点。後半8分にFW榊のゴールで1点差に詰め寄るも、白星は遠かった。これが石崎体制最後の試合。主将のMF河合は「石さんに勝利を届けたかったのに。こういう結果になってしまい残念でならない」と悔しさをにじませた。

 試合前には古辺フィジカルコーチから「このメンバーで戦うのはこれで最後だからな!

 勝って終わろう!」とゲキが飛んだ。石崎監督とプロ入りから歩んできたMF古田は1-2の後半16分、右サイドをドリブル突破。左サイドを抜け出したFW榊に右足アウトサイドで絶妙なスルーパスを出したが、同点弾にはならなかった。4年間一緒だった指揮官に勝利を贈れず「高校のときからずっと見てくれた。一番身近な存在だった。最後は勝たせてあげたかった」と肩を落とした。

 現実を受け止め、来季に立ち向かわなければならない。勝ち点14。最低目標と掲げていた前回J1の08年の18さえも越えられなかった。大きな要因は個のレベルの差。後半26分、奈良の寄せが甘く、ミネイロに強烈なミドルシュートを許した。「力のなさを感じた。間合いが空きすぎた。J1ではやられるのは当然」。J1史上最多88失点の痛みを、成長につなげなければ進歩はない。

 選手だけの問題じゃない。9月末に7試合を残し最速降格した直後、矢萩社長は「このアドバンテージを生かしたい」と話した。若手中心のチームづくりを掲げたが、2カ月以上経過して、監督すら発表されていない。全選手への来季の条件提示も済んでいない。経費削減のためグアム合宿も取りやめになった。目標は来季1年の再昇格。だが、柱となるものが、ほとんど見えてこないまま、12年シーズンがむなしく終わってしまった。【永野高輔】