<ACL:仙台1-1ブリラム>◇1次リーグE組◇26日◇仙台ス

 仙台にとって初めてのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は、少し悔しい船出となった。ブリラム(タイ)との初戦はドロー。後半8分にMF梁勇基(31)がPKを決めて先制も、31分にCKから同点に追いつかれた。臨機応変なシステムチェンジで今季掲げる柔軟性を表現したが、勝ち点3獲得とはいかなかった。

 梁が“リベンジ”の一撃を決めた。太田のクロスに中央で赤嶺が競り、DFオスマルのハンドで得たPK。昨年2月のブリラム戦でPKを決めている太田もいる中で、背番号10がボールをセット。左隅へ冷静に転がした。クラブにとって記念すべきACL1号。大黒柱がまた1つ、チームの歴史に名を刻んだ。真っ先にプロ入りから二人三脚で歩んできた手倉森監督のもとへ駆け寄り、抱きついた。

 昨年の対戦では右膝にプロ人生初の大ケガを負った。当初、本人は「若手に経験を積ませるべき」と、タイ遠征への同行自体に消極的だったという。それでも、公式パンフレットで梁を大々的に扱うなどしていたタイ側の熱望で試合に出場した経緯がある。開幕を棒に振り、J2時代から続けていた213試合連続出場も途切れるなど代償は大きかった。ACLでの再戦決定から「ここでもう1回当たることに縁を感じる」と運命めいたものを感じていたが、ゴールという最高の形で借りを返した。

 この日は赤嶺の1トップでスタート。状況に応じて太田と武藤が最前線に上がって3トップを形成したが、前半はなかなか攻撃の形がつくれなかった。後半からは慣れ親しんだ2トップシステムに変更。得意のサイド攻撃からPK獲得につなげ、その後もゴールを何度も脅かした。手倉森監督がテーマとして掲げる「柔軟性」の一端は見せたものの、スタジアムに集まった1万206人へ勝利を届けることはできなかった。