J2札幌は、10日のホーム開幕栃木戦(札幌ドーム)の開始前に黙とうを行うとともに、喪章を付けて試合に臨む。2日午後から道東地方を中心に猛威を振るった暴風雪に巻き込まれて亡くなった9人を悼むもので、野々村芳和顧問(40)が6日の練習前に提案、選手が賛同した。北海道を本拠地とするチームとして、道内で起こった悲劇を胸に刻みながら、命を落とした犠牲者に97年以来の開幕連勝をささげる。

 2日午後から3日早朝にかけて道内を襲った暴風雪は9人の尊い命を奪った。6日の練習前、選手の前に立った野々村顧問はあらためて事態の深刻さを説明。その場で10日の栃木戦に喪章をつけて臨むことと、試合前に黙とうを行うことが決まった。「(犠牲者が出たのは)残念です。同じ北海道民として、試合で少しでも(哀悼の)気持ちを出せればと思います」と、MF砂川誠(35)が神妙な面持ちで話した。

 提案した野々村顧問は暴風雪のちょうど1週間前に札幌の中標津後援会の会合に参加。約40人の前で講演を行っていた。雪に埋まった車に閉じこめられ、母と子ども3人が一酸化炭素中毒で命を落とした現場の付近を偶然にも通過。会合日程によっては巻き込まれる危険性もあっただけに、人ごとではなかった。

 また、湧別町で1人娘を胸に抱えながら凍死した漁師の岡田幹男さん(53)には、多くの選手が心を痛めた。2人の息子を持つMF河合竜二(34)は、「非常に痛ましい事件。残念という言葉しか見つかりません」。MF砂川も「僕も子どもが生まれて、かけがえのない大切なものを知りました。(岡田さんの)思いは分かります」と、沈痛な表情で話した。

 だからこそ、ホーム開幕の栃木戦には9人、そして残された遺族の方々の無念の思いも背負って臨む。「(遺族の方が、札幌の試合を)パワーに変えてもらえるように頑張っていくしかない」と、MF河合は前を見据えた。3日の開幕・千葉戦は途中出場ながら、劇的なロスタイムの決勝ゴールをアシストしたMF砂川も、「次はスタメンで出られるように準備からしっかりして(財前)監督にアピールしたい」。97年以来16年ぶりとなる開幕連勝へ意欲を見せた。【中島洋尚】