<J1:鹿島3-2仙台>◇第2節◇9日◇カシマ

 鹿島の超強力2トップが大暴れした。前半29分、新加入のFWダビ(29)がヘディングシュートで移籍後初ゴールを挙げると、後半3分には試合を決定付けるチーム3点目を決めて2得点。コンビを組むFW大迫勇也(22)も、後半2分に2試合連続となる今季2点目を挙げた。FW2人のゴールラッシュで昨季2位の仙台に快勝し、今季初勝利をつかんだ。

 鹿島の命運を握る2人がゴールで初競演した。まずはダビ。前半29分、MF野沢のシュートが相手に当たってコースが変わったところを素早く反応。とっさに頭で合わせると、GK林が右手に当てながらも防ぎ切れず、ゴールラインを越えた。移籍後初ゴールの瞬間を見届けると両手を突き上げ、サポーターの大歓声に応えた。「ファミリーの一員になれた気がした」。

 後半3分には、2トップを組む大迫がDFを引き付けている隙に中央へ進入。野沢の右クロスを相手より前に入ってフリーで捉え、難なく左足で決めた。「野沢さんがボールを持つと『この辺りに来る』と体が反応する」と鋭い嗅覚を生かして2得点。今日10日に29歳の誕生日を迎えるブラジル人は「家族と離れて単身で寂しいけどサッカー選手として仕方がない。ふらっと出掛けたら誰かプレゼントをくれないかな」と陽気な一面をみせた。

 ようやく目を覚ました。1月下旬に来日。外国人によく見受けられる体の「太め感」はなかった。だが1週間後の320メートル×10周の持久走では、トップから3周近く遅れてぶっちぎりの最下位。とても動ける状態ではなかった。そこからたった1カ月。2戦目で答えを出すあたりは明らかに「実戦向き」だ。「体調はまあまあ。もっとよくなってくる。大迫との連係ももっとよくなる」と、さらなる上積みも期待できる。

 大迫も負けていない。後半2分。DF西からのクロスをDFに背を向けて受けると、反転しながら左足でシュート。ゴールをほぼ見ずに放った技ありの1発で、開幕戦に続く今季2点目を挙げた。「イメージ通りに打てた。マルキーニョス(横浜)が3点?

 すごいね。自分もどんどん決めたい」と得点王争いを意識。「ダビとのコンビネーションも1戦目よりよかった。やりやすい」と相棒をたたえることも忘れなかった。

 普段から会話は欠かさない。ダビは日本語、大迫はポルトガル語。互いの母国語を少し交え、意思疎通を図ってきた。守備時に気付いた方がボランチを助けにいくなど、開幕2戦目にして足りない部分を補完し合っている。チーム関係者も「ダビが1人で強引に行くこともないし、2人がお互いを意識してプレーできている」と評価。相性抜群の2トップが、鹿島の快進撃を予感させる。【湯浅知彦】

 ◆鹿島の強力コンビの歴史

 Jリーグ草創期の93年は、FWアルシンドとやや低い位置から攻撃に参加する元ブラジル代表MFジーコがゴールを量産。アルシンドが28試合22得点、ジーコが16試合9得点を記録した。翌年には同年開催のW杯米国大会に出場していたMFレオナルドが加入。9戦7ゴールでアルシンドと合わせて2人で35点を決めた。黒崎久志、長谷川祥之の2人も90年代前半の鹿島を支えた。セレーゾ監督が指揮を執った00年前後は、柳沢敦と鈴木隆行という当時の日本代表が2トップを形成。平瀬智行も在籍し、層は厚かった。07年にはマルキーニョスを獲得。柳沢や興梠慎三らと融合し、08年には21ゴールで得点王を獲得。