実はオレも国立にいたみたいなんです…。東京FW李忠成(27)が14日、Jリーグが開幕した93年5月15日に、国立で生観戦していたことを明かした。前夜に父から聞き、驚きの事実を知った。これで東京MF石川同様、今日15日のナビスコ杯新潟戦での先発が確実で、20年の時を超えて国立に立つ。記念すべき日に、ゴールを決めたあかつきには「カズダンスをやる」

 と高らかに宣言した。

 かすかな記憶をたどり、李は首をかしげながら切り出した。「いや~、実はオレも開幕戦を見に行ってたみたいなんですよね。あんまり覚えていないんだけど…」。20年前の5月15日、国立のスタンドにいたようだ。前夜、父と話していたときに「おまえも行ってるよ」と言われ「え!?

 そうなの?」と頭をかいた。これで同僚の石川や横浜MF中村に続いて、3人もの日本代表経験者が観戦していたことになる。

 小学2年だった当時、最寄りの千駄ケ谷駅から歩いて国立へよくJリーグを見に行っていたという。「たくさん行ってたから、まだ小さかったし(記憶が)あいまい。あれが開幕戦だったんだ…」。川崎(東京V)FWマイヤーが、右足弾丸ミドルでJリーグ1号を決めた開幕戦。「マイヤーみたいなゴール決めてこい」と父からハッパをかけられ「やるしかないでしょ」と、聖地でゴールを狙う。

 公式戦5試合ぶりの先発は確実。これ以上ない特別な日のゴールパフォーマンスには「マイヤーは何もしてくれなかったからな~」とじっくり考えながら「カズダンスやるしかないかな」。柏時代の08年、国立で初ゴールを決めたときにダンスを披露。Jリーグを見て育ち、カズに憧れた世代だからこそ、聖地で見せた。今月3日の磐田戦では視察したザッケローニ監督に向けて矢を放つポーズを見せたが、20周年を記念する日に、場所は国立。やるならカズダンスしかない。

 ただ、本家からの注文も忘れていなかった。「カズさんに『踊ってもいいよ』って許可はもらったけど『もっとかっこよく踊って欲しい。もっと練習してくれ』って言われた。でも幸せっすよね。20年後にまさかピッチに立てるとは」。驚きの事実を知り、その直後にカズダンス宣言。Jが生んだ希代のキャラクターが、節目の日にさく裂する。【栗田成芳】