J2G大阪の長谷川健太監督(47)が、ドーハの悲劇後の日本進化論を説いた。次節15日水戸戦(アウェー)に向け大阪・万博で練習を再開した11日、日本代表がイラクと対戦した。20年前のイラク戦に先発した同監督は、懐かしそうに振り返りながら「あれは悲劇ではない」ときっぱり。「あの試合で日本サッカーが変わった。それを思えば、決して悲劇とは言えない。(W杯に)行きたかったけどね…」とつぶやいた。

 93年10月28日。日本中が喪失感を味わった一戦に同監督はカズ、中山とともにFWで先発。長谷川監督が開始5分に放ったシュートが、カズの先制点につながった。後半ロスタイムに、CKからの同点弾でW杯切符を失ったことを指摘。「あの頃は時間稼ぎをせず、最後まで正々堂々と戦うのが日本人という思いがあった。あの試合があって『時間稼ぎ』という考えが日本に定着したんだ」。

 20年前の苦い経験が、今につながっていることを強調した。【益子浩一】

 ◆ドーハの悲劇

 93年10月28日のW杯米国大会アジア最終予選最終戦・日本-イラクで、悲願の本大会出場まであと数分に迫っていた予選首位の日本を襲った悲劇のこと。日本は勝てば切符を得られ、イラクも可能性が残っていた。日本が2-1で迎えた後半ロスタイム、右CKから短くつながれて、まさかの失点。結局、引き分けで両国とも本大会には届かなかった。W杯へは1位サウジアラビア、2位韓国が出場し、得失点差で日本は3位に終わった。ドーハの会場、アルアハリ競技場は老朽化が進み、最近の国際試合では使用されない。