<J2:札幌1-0富山>◇第19節◇15日◇札幌厚別

 札幌厚別1勝!

 J2札幌は富山に勝ち、今季札幌厚別開催4戦目にして初勝利を挙げた。財前恵一監督(44)は、初めて最古参11年目のベテランMF砂川誠(35)をボランチで起用。前半10分、その砂川が期待に応え先制点を決めると、チーム一丸で1点を守り抜いた。守備陣もホーム9戦目にして初完封。4月14日徳島戦(札幌ドーム)以来2カ月ぶりとなる本拠2勝目につなげた。

 雨上がりの札幌厚別に歓喜の雄たけびがこだました。同競技場での白星は昨年7月28日名古屋戦(2-1)以来約10カ月、8試合ぶり。約2カ月お預けとなったホームでの勝利に財前監督は「なかなか勝てなかった厚別で勝ち点3をとれたことが本当にうれしい」と感慨深げに振り返った。

 指揮官の斬新な選手起用が当たった。U-18代表候補合宿直後で疲労を抱えていた新人MF深井の先発を回避。サイドハーフやトップ下が本職の砂川をボランチに初起用すると前半10分、DF上原の左クロスのこぼれ球を、砂川が右足で押し込み決勝点になった。

 富山戦での大きなポイントは「気持ちを出す」「ボールを早く前に動かす」の2点だった。前節愛媛戦で2-3と逆転負けを喫し、指揮官は「気持ちの問題。試合に入れていない選手がいた」と精神面の弱さを厳しく指摘した。さらに14日の直前調整後は厚別の荒れたピッチへの策として「最近、逃げるバックパスが多い。シンプルでもいいから前へ」と奪った後の素早い前線への配球を指示した。

 そのテーマ遂行に理想的な人選が砂川だった。本来攻撃の選手も、札幌最多のJ436試合と経験豊富で戦術眼にたけている。最年長で誰にでも激しくゲキを飛ばせる。「人を動かすというところで使ってくれた。あとはセカンドボールをサボらず拾う姿勢が点につながった。ボランチの位置から点を取れたのは収穫」。やみくもに前に蹴り出すだけでなく、状況を見てパスを回し、ときには選手を鼓舞し、指揮官の期待通り、チームを落ち着かせた。

 久しぶりの厚別1勝も、もろ手を上げて喜べる内容ではない。シュート13本で1点。砂川は「後半45分の戦い方は改善が必要。簡単にボールを失い、取り返すために走るの繰り返しでは体力を失う。マイボールを長くすることが大事」と反省した。続けてサポーターと喜びを分かち合うために、地道な課題修正で精度を上げていく。【永野高輔】