<J2:湘南2-0札幌>◇第3節◇16日◇BMWス

 札幌完敗-。J2札幌は湘南に敗れ、開幕3戦目で初の黒星を喫した。3戦目で初の無得点。昨年10月27日の京都戦以来7試合ぶりの完封負けとなった。FW石井謙伍(27)、MF菊岡拓朗(28)の主力2選手が体調不良で欠場。途中から新加入のFW都倉賢(27)が出場し打開を試みたが、2点差をはね返すことはできなかった。

 最後まで粘った札幌だが、堅い湘南ゴールを割ることはできなかった。後半ロスタイム、中央からDF日高が右足ボレーで狙うも、ボールはクロスバーをたたき試合終了。昨季J1組の底力を見せられ、シュートは7対15。数字通り劣勢を覆せず、初黒星を喫した。

 相手の早いプレスに目指すサッカーを披露することができなかった。MF砂川は「相手の圧力に負けた。今日の試合は完敗。ロングボールにも90分、てこずった」と振り返った。ボールを動かし相手スペースをこじ開ける札幌のスタイルは、ほぼ出せないまま完封負けした。財前監督も「攻撃は特に何もできなかった」と言うほかなかった。

 MF菊岡、石井が体調不良で欠場。特に中盤でボールをさばける菊岡の不在について、財前恵一監督(45)は「チーム力が、がくっと落ちたわけではないが、多少影響はあった」と話した。山形戦で菊岡との連係で得点を挙げた前田は徹底マークを受けた。ドリブルをすれば2人に挟まれボールを失った。エース内村も後半36分に河合の右クロスを頭で合わせたが、シュートはこの1本のみ。前線のキーマン2人の良さが相手の精力的な守備に完全に封じられた。

 開幕磐田戦は、個人能力は高いが、前から積極的に奪いにこられなかった分、ボールを奪った後は比較的、つなぐこともできた。2戦目の山形戦は高い位置からプレッシャーをかけるJ2スタイルのチーム。押し込まれるシーンも多かったが、相手の決定力不足に救われた。3戦目は、激しく前から寄せてくるJ2特有の守備と、昨季J1で磨いた攻撃の精度を兼備した湘南に圧倒された。

 痛い敗戦も、3月の時点で修正点が明確になったことはプラスだ。砂川は「湘南の早いプレスはJ2でも一番。これを攻略できる質を持てればJ2でも上位にいけるということ」と前向きにとらえた。相手はリーグ唯一の3戦無失点、3連勝で首位。自動昇格圏に入るため、初黒星で得た収穫を、次戦に生かしていく。【永野高輔】