<J1:川崎F2-1G大阪>◇第9節◇26日◇等々力

 川崎FのFW大久保嘉人(31)が、値千“金”弾を決めた。1-1の後半ロスタイム2分、MFレナトの左クロスにジャンピングヘッド。競り合ったDF藤春より頭1つ抜けだし、豪快にゴールネットを揺らした。

 後半14、18、28分と3度の決定機を外していた。「このまま終わったら完全に俺のせい。焦っていた」。後半5分にはオーバーヘッドを試みた際にDF丹羽の足が顔面を直撃し、歯の一部がかけた。21分には、丹羽の足が今度は股間を直撃した。「完全に蹴られた。キン○マです」。倒れてもんどり打つと、これがシミュレーションと取られ、今季初の警告を受けた。

 それでも男・大久保はツイていた。FW小林と相手DFジェソクの接触による中断でロスタイム6分。「もう1回チャンスが来るかなと思った」。引き寄せた運で得たラストチャンスで、下半身の痛みも忘れる跳躍力でヒーローになった。

 W杯メンバー入りを諦めていない。5月3日甲府戦はザッケローニ監督が視察する。「JリーグとACLで結果を出すしかない」。満身創痍(そうい)でも得点できる能力は評価されるはずだ。【由本裕貴】