世界のプレーを手本に勝つ!

 J2札幌のU-21代表DF奈良竜樹(20)が、今日14日の横浜FC戦(ニッパツ三ツ沢球技場)での3試合ぶり完封勝利を誓った。13日の練習前にはW杯開幕戦をテレビ観戦。尊敬するブラジル代表DFチアゴシウバ(29=パリサンジェルマン)が、安定感のある守備で逆転勝利に導く姿を目に焼き付けた。警告を受けないクリーンな“チアゴシウバ流”で、敵地8戦ぶり勝利を呼び込む。

 常に世界一の舞台を視野に入れておくことこそが、プロ選手としての糧になる。奈良は、13日の練習前、午前5時から放送されたブラジル-クロアチア戦を選手寮で生観戦してから札幌ドームサブグラウンドに向かった。先制されながら逆転勝利した王国ブラジルの戦い方に夢中になった。

 最も注目したのは、2得点のネイマールでも、元札幌のフッキでもない。主将として、安定した守備でチームをけん引したチアゴシウバだった。入場時に興奮で目を真っ赤にしてピッチに入ってきた世界最高のセンターバックに見入った。「(同じブラジル代表DFの)ダビドルイスも派手さはあるが、僕は陰でコントロールするチアゴシウバが好き。ポジショニングやビルドアップも、すべて高いレベルで、気持ちが高ぶった」と振り返った。

 クリーンで警告をほとんど受けないクレバーな守備は、奈良が目指す究極のDF像だ。昨季の警告数は河合に次いで、チーム2番目に多い7回だったが、今季は現在15試合に出場してゼロと安定している。相手の動きを事前に察知し、ファウルをしないで相手FWを封じ、さらに味方の攻撃の起点となる。そんなブラジル主将のプレーは、3戦ぶり完封を目指す奈良にとって、質の高いイメージトレーニング材料になった。

 9日から参加していたU-21代表候補の大阪合宿では、練習中に右足首を負傷。軽傷だったが最終11日の全日本大学選抜との練習試合は手倉森誠監督(46)から「リーグ戦に支障があってはいけない」との配慮で、出場を回避した。「痛み止めを飲んでやると伝えたが、手倉森さんに気を使ってもらった。その分、リーグ戦で結果を出さないと」。2年後の16年リオ五輪、4年後の18年W杯ロシア大会出場の可能性を秘めるホープが、まずは札幌の主軸として1戦1戦レベルを高め、世界への階段を上がっていく。【永野高輔】