<天皇杯:奈良クラブ2-1仙台>◇12日◇2回戦◇ユアスタ
元J1戦士が番狂わせを起こした。関西社会人リーグ1部の奈良クラブがJ1仙台に2-1で逆転勝ちし、3回戦へ駒を進めた。1-1の後半41分、途中出場のFW岡山一成(36)が決勝ゴール。横浜や柏、韓国・浦項など9クラブでプレーした苦労人が、4カテゴリー上の古巣から涙の大金星をつかんだ。
ジャイアント・キリングを呼び込んだのは、岡山の執念だった。後半41分、パスカットした味方が左サイドを駆け上がると、猛然とゴール前へ走り込む。狙い澄ました右足シュートはネットを揺らし、07年途中から08年まで所属した仙台を黙らせた。昨季から地域リーグに戦いの場を移した18年目のベテランは「もう1度ユアスタで決めるシーンを何百回も思い描いてきた。サッカー人生の中で1番のゴール」と号泣した。
何度も引退を考えた。仙台を退団した直後の09年は所属クラブがなく、飲食店で働いた。11年から所属した札幌でも出場機会は少なく現役続行を諦めかけたが、12年1月に出場した「松田直樹追悼記念試合」が転機となった。ともに横浜で戦った仲間が亡くなるまでプレーした松本山雅は当時JFL。「サッカーをやりたい気持ちが強くなった。松田君も『まだやれ』って、後押ししてくれた」。昨年8月、環境面も伴っていない奈良クラブへの移籍にも迷いはなかった。
体力面の不安から出場時間は30分限定でも、J1の古巣撃破という最高の形で存在感を示した。「奈良からJへ」という大きな夢へ向け、岡山と奈良クラブは走り続ける。【鹿野雄太】
◆奈良クラブ
91年、奈良県奈良市を本拠地に都南クラブとして創設。97年に県1部に昇格し、奈良クラブに改称した08年に関西2部リーグ入り。翌09年に1部昇格を果たす。11年に初優勝し、13年にJ準加盟申請が承認された。天皇杯の最高成績は2回戦。
◆岡山一成(おかやま・かずなり)1978年(昭53)4月24日、大阪・堺市生まれ。和歌山・初芝橋本高から97年に横浜入り。大宮、C大阪、川崎F、福岡、柏、仙台、韓国・浦項、札幌を経て13年8月に奈良クラブ加入。FW、DFとしてJ1通算64試合6得点、J2通算214試合20得点。浦項で09年ACLに2試合出場。186センチ、74キロ。血液型O。
◆天皇杯の番狂わせ
近年では、13年度2回戦で当時JFLの長野(現J3)がJ1名古屋に2-0で勝利。12年度は2回戦で四国社会人リーグのFC今治がJ1広島を2-1、JFLの横河武蔵野FCがJ1東京を1-0で破った。3回戦では当時東北社会人リーグ1部の福島(現J3)がJ1新潟を1-0で撃破。11年には福岡大がJ1大宮をPK戦で下している。



