<J1:浦和1-1鹿島>◇第17節◇27日◇埼玉

 首位浦和はホームで鹿島と引き分けて前半戦を首位で折り返した。前半20分にFW興梠慎三(27)のゴールで先制。10分後に追い付かれて、連続無失点のJ1記録は7試合で止まったが、昨季までの悪癖だった連続失点はなく、8試合連続負けなしとなった。

 忘れかけていた失点のショックにも浦和は余裕だった。前半30分。しばらく遠ざかっていた感覚が突然やって来た。中盤でボールを奪われ、カウンターから鹿島MF柴崎に同点ゴールをたたき込まれる。一瞬静まったスタンドをよそに、GK西川周作(28)は「大丈夫、大丈夫」とすぐに声をかけた。落ち着こうとジェスチャーし、守備陣の肩をたたいた。西川は「いいシュート。この失点を次に生かせばいい」と冷静に受け止めた。

 昨季の終盤は連続失点で一気にリズムを崩し、優勝が遠のいた。失点後に取り返そうと、しゃにむに前がかりになって逆にやられた。だが、その姿はない。ペトロビッチ監督(56)は失点シーンを「那須はパスを予測していた。伸ばした足の下をパスを通ったのが不運だった」。無観客で開催された3月23日の清水戦以来のホームでの失点を意に介さなかった。

 選手たちも落ち着いていた。DF槙野智章(27)も「失点はいつか来る。その時に崩れないようにと、失点後のゲーム運びが重要だと話していた」と動揺はなかった。いつまでも無失点を続けることはできない。試合前から守備陣を中心に、失点しても取り乱さないようにと約束していた。

 ホームでの無失点時間は640分で、優勝した06年に作った記録を塗り替えた。昨季の17節終了時は34得点、23失点。今季は23得点、10失点。堅守を武器に大人のサッカーに変貌した浦和が、08年以来となる首位ターンで後半戦を迎える。【高橋悟史】

 ▼連続無失点記録

 浦和は鹿島戦の前半30分に失点し、J1記録の連続試合無失点記録が7試合で止まった。連続無失点時間はJ1歴代2位の659分でストップ。1位は延長、PK戦のあった93年に清水が記録した731分。また、ホームに限ると、3月23日の第4節、清水戦の前半19分以来の失点で、連続無失点時間は640分。こちらは06年に浦和が達成した638分を抜いてJ1新記録となった。なお06年の浦和は最終的に優勝を飾っている。