◆浅野拓磨(22=2部シュツットガルト)

 新加入の選手とは思えないくらいすんなりチームに溶け込んだ。同じ年代のマネ、パバルトという両選手が同時期に加入してきたというのも大きかっただろう。ボルフ新監督のもとですぐにレギュラーポジションを確保し、試合を重ねるごとにドイツサッカーへの順応を果たし、今ではシュツットガルトが作り出すほとんどのチャンスに絡むほどだ。それだけに今後はワンステージ上のプレーが求められている。すなわちチャンスに絡むだけではなく、ゴールという結果に結びつけらるだけのプレーの質の部分だ。

 浅野も「僕自身もチームに少しずつ頼られてきているなというのは感じます。味方が持った瞬間、奪った瞬間の動き出しというのは自分はいいものを持っていると自分でも思いますし、そこは自信を持っている。そして結果を残さないと、そこは高めていけないと思うので、惜しいだけじゃなくて、最後に結び付けるのが大事かなと思います」と明言していた。あくなき向上心でさらなる成長にチャレンジする。

◆細貝萌(30=2部シュツットガルト)

 負傷による2度の離脱は細貝個人にとっても、またチームにとっても手痛いものだった。8月に太ももの肉離れで離脱した後は復帰後すぐにスタメンに戻り、チームを支えた。経験を生かしたポジショニングとボールへのアプローチの鋭さは2部リーグレベルでは間違いなくトップクラスに属す。その守備力と展開力がチームにとっていかに大きかったかは、細貝が太ももの負傷で2度目の離脱をした後に、シュツットガルトが苦しんでいることからもうかがえる。

 それでも本人には焦りはなかった。「残念ながらすぐに2度も負傷をしてしまった。最初は太ももの肉離れで次は足の指の骨折。長い時間離脱していて、チームを助けることができなかった。いずれにしてもまたコンディションは良好と感じています。でも満足していないというわけではない。ベテラン選手として、チームの成功に何が一番必要かを考えるのは重要だから。個人的なフラストレーションはない。自分のエゴは後ろにおいてあります」とビルト紙のインタビューに答えていた。

 今年最終節のビュルツブルク戦でようやくスタメン復帰を果たしたが、負傷前のコンディションにはまだほど遠く、チームも0-3で敗退。冬の準備期間で調整しなおして、万全の状態で後半戦に挑みたい。昇格が必須のチームにとって絶対的な存在になるはずだ。

◆宮市亮(24=2部ザンクトパウリ、FW)

 開幕のシュツットガルト戦では途中出場。試合後には「チームとしてこうして開幕を迎えるのが僕自身初めて。プロになっていつもレンタルで、開幕始まって何試合してから参加してという感じだった。チームにすごく溶け込めている感じがします。コンディションはすごくいいです。去年はもうピッチにすら立ってなかったので。順調に来ていると思いますし、シーズンは長いんで、コンディションだけはしっかり維持して頑張りたいです。とにかくけがないシーズンを送りたいというのが本音。そこにフォーカスしていけば、おのずと結果とかもついてくるんじゃないかなと思います」と振り返り、シーズンに向けての展望を話していた。だがザンクトパウリにとって思い通りのシーズンにはなっていない。昨シーズン4位ながら今季は最下位に沈み続けている。宮市も第11節ニュルンベルク戦では試合中の競り合いで脳震盪を起こし、救急車で病院に転送されたこともあった。

 4日後、練習場に姿を現し、ジョギングを行った宮市は地元報道陣に「ドクターが僕に『名前は?』『どこにいる?』『試合の途中経過は?』と聞いてきました。途中経過が思い出せなくて、1-1の代わりに0-0と答えてました。なんだかどこを歩けばいいのかわからかった」と衝突シーンの様子を語っていた。

 そうしたネガティブな要素が多いことを配慮すれば、リーグ12位試合うちスタメン7試合という数字は悪くはないものなのかもしれない。最終節のボーフム戦では今季初のフル出場を果たした。後半戦はより一層力強いプレーでチームの浮上に貢献したい。

◆山田大記(27=2部カールスルーエ)

 たとえ状態が悪くとも山田を信じて起用し続けてくれた恩師のカウチンスキ監督が去り、オラル新監督の下、新たな船出となった今季のカールスルーエ。不慣れなボランチに配置され、開幕戦やその翌週のドイツ杯でもまったく出番をもらえず、第3節から第6節の間はメンバー外にもなるなど、背番号10は苦境に立たされていた。しかし出場機会のなかった開幕戦後、「言葉を選ばなければいけないですけど…出た時にしっかりプレーすれば、レギュラーで出られる自信はもちろんあります。やっぱいろんな監督がいて、いろんな考えかた、いろんな好みがあって…で、自分も選手としてはそれに適応して、監督の要求っていうものを読み取って、しっかり答えていかないといけない」と力強く語っていた。

 その山田は第7節で5試合ぶりの先発を勝ち取り、チームを今季初の白星へ導いている。以降は年内の全試合でスターティングメンバーに名を連ね、第12節ハイデンハイム戦では珍しくヘディングでの得点も記録。シャルケやハノーバー、ハンブルガーSVで指導経験があり、高いテクニックと戦術理解力を中盤の選手に求めるスロムカ監督の就任も決まったことで、山田の活躍を目にする機会は前半戦より格段に増えそうだ。

【中野吉之伴、鈴木智貴通信員】