<セリエA:インテルミラノ2-1フィオレンティナ>◇9月30日◇ミラノ

 インテルミラノの日本代表DF長友佑都(26)が、今季本拠地初勝利を飾った。フィオレンティナ戦で、布陣変更した3-5-2の左MFに入り運動量を発揮。後半17分には、ドリブル突破から警告を誘い出し、相手DFを退場させ流れを引き寄せた。フル出場こそ果たしたが、ファウルを受けた際、古傷の右足首を痛め、続くリーグ、代表戦に不安を残した。

 呪いを解く代償は、決して小さくはなかった。2トップの2発から1点追い上げられる展開で迎えた後半17分だった。長友は左サイドを駆け上がった。スピードに乗り、2人を引きつけたその瞬間、後方から削られた。相手DFが2枚目のイエローを出されて退場。今季本拠地「サンシーロ」で公式戦5戦未勝利で迎え、呪いとまで言われた騒音をかき消す初勝利を呼び込んだ。だが標的とされたのは、今季に入って痛みを抱える右足首だった。

 相手のスパイクの歯が、左クロスの生命線である軸足をえぐった。一時退場し数分後にはピッチへ戻り、大けがは免れた。しかし試合後の長友は「少し腫れている。状況をみてやりたい。いつも右足首。左サイドなんで、踏み込んだときにくる。気をつけないと」。心なしか引きずった右足の負傷は、9月3日のローマ戦で痛めてから今季3度目。同6日には日本-UAE戦を欠場したほどだった。

 ただ卑劣なファウルは、3シーズン目を迎えるセリエAで認められた証拠でもある。不用意に飛び出さず、カウンターから効果的な攻撃参加を繰り返した。この日の試合前には、ストラマッチョーニ監督に個別で呼ばれ、マークする相手選手について「彼は素晴らしい。でもお前の方が速いから止められる。信頼しているから」と言われ、名門インテルミラノにおいて着実に信頼を勝ち取っている。前節から変更した3-5-2の布陣で、運動量を求められる左MFを託された。

 辛口で知られるガゼッタ・デロ・スポルト紙も、お客さん扱いはしない。翌日の紙面では各紙が、平均以下の5~6点。期待はまだ大きい。続く欧州Lは、足首の状態次第で回避する可能性もあるが、後にはミラノダービー、そして代表合宿が続く。「勝ててホッとしている。情けない気持ちがあったから」。手負いの痛みを忘れるほどの勝利だった。【栗田成芳、波平千種通信員】