<柔道:グランドスラム東京2012>◇初日◇30日◇東京・代々木第1体育館◇男子66キロ級

 「補欠」という崖っぷちだった男が、66キロ級を制した。10年世界選手権優勝の森下純平(22=筑波大)が、最後は鮮やかな内股で一本勝ちし、初優勝を果たした。

 当初は、今大会の代表ではなかった。講道館杯で敗れて落選。その瞬間に「来年の世界選手権はもうないと思った」と落ち込んだ。

 だが、ロンドン五輪出場を争った銅メダリストの海老沼匡(22)が肩痛で欠場し、急きょ出番が回ってきた。このチャンスを逃すわけにはいかなかった。「講道館杯で負けて、この試合で勝つしか世界選手権の望みはないと思った。勝てて良かった」。意地を見せて、少しだけ笑顔も見せた。