ハヤブサ・ジャパンに露出指令!? 16年リオデジャネイロ五輪のアジア予選を兼ねたアジア選手権で2連覇を飾り、3大会ぶりの出場権を獲得したバスケットボール女子日本代表が6日に帰国した。報告会見で真面目一辺倒な受け答えに終始した選手に、日本協会の川淵三郎会長(78)からはダメ出しが。今後は積極的な取材応対で名前と顔を売り込み、メダルを狙うリオへの盛り上げにつなげる。

 祝勝会の会場で、さっそく「指導」が入った。決勝戦で最多24得点と活躍した本川と、3点シュートを高精度で決めた栗原が「殻を破ります!」と宣言した。相手は川淵会長。「話すことが少し真面目過ぎるなあ。ひょうきんなところとか出しても良いんだよ」と説かれた。互いに満面笑みの中に鋭い指摘。直前の乾杯では発声を栗原に任せるムチャぶりで、実践機会をつくった。

 5日のアジア選手権決勝で、地元中国に85-50で完勝した。この日の成田空港では「おめでとう」とファンの声も飛ぶ中で笑顔の帰国。近郊のホテルで行われた報告会見でも選手から喜びと感謝を伝えるコメントが並んだが、それを見ていた川淵会長には物足りなかった。「まっとうすぎるな」。キャラ立ちするようなメンバーが見当たらなかった。

 顔と名前を覚えてもらってナンボ。会見終了後には選手を集め、なでしこジャパンの例を話した。11年W杯で優勝したメンバーはメディアに引っ張りだこ。12年ロンドン五輪予選前には佐々木監督が「勝てない」と危機感を募らせるほど多忙を極めた。それでも突破し、銀メダルも獲得。選手は露出を増やし、いろいろな経験で場数を踏み、たくましくなった。そして競技もメジャーになった。 昨年11月には日本協会の資格停止処分で国際試合が禁止に。8月の正式解除まで強化に影響を受けながら、五輪切符をつかんだ。苦境を越えたいまこそ、チャンスでもある。同会長は「『練習があるから取材は…』と断っては駄目。どんどん出ろ」と指令を出した。

 目指すのはメダル。そのための強化費は惜しまない。優勝で選手には1人50万円の報奨金が出るが、これはなでしこジャパンが五輪出場を決めた時の40万円より多い。口べたな吉田主将も「頑張らないといけないですね」。差額分というわけではないだろうが、一皮むける誓いを立てた。