男子の葛西紀明(43=土屋ホーム)が、あわや「失格」の事態に直面しながら16年の国内初戦を制した。本戦前の試技が予選を兼ねることを知らず、関係者から連絡を受けて飛ぶ順番の28分前に到着。無事予選を通過すると、1回目に97・5メートルで2位につけ、2回目は最長不倒の99メートルで合計264・5点で初優勝した。

 “綱渡り”で葛西が16年の国内初戦を制した。会場到着は予選の28分前。間に合わなければ失格だったが「もうだめだと思ってゆっくり来たら間に合った」とニヤリとやって笑わせた。

 例年この時期はW杯出場で海外にいるため、大会の出場は21年ぶり。本戦前の試技は予選を兼ねることを知らなかった。試技をキャンセルして午前10時30分に競技開始予定の本戦に合わせようと、自宅で準備していると、携帯電話に関係者から連絡が届いた。慌てて10時に自宅を飛びだした。

 会場到着は10時13分。同41分に予選の115番目で飛んで95・5メートルで通過。実際には同53分から競技が始まった本戦で2本飛んで勝った。関係者はやきもきしたが「こういうパターンもある。いい経験になった」と涼しい顔だった。