シンクロナイズドスイミング日本代表の井村雅代ヘッドコーチ(HC、65)が8日、リオデジャネイロ五輪世界最終予選の大会方式に関して、国際水泳連盟(FINA)に抗議したことを明かした。

 五輪会場で行われた予選で出場権獲得も、メダル争いのライバルのウクライナに敗れ2位。この日、成田空港着の航空機で帰国した井村HCは会見で「何でやねんという感じ」とジャッジと大会方式に怒りを爆発させた。

 通常の競技会では、1番目の演技者の前に、プレスイマーと呼ばれる選手たちが演技をする。そこでジャッジは採点基準を調整し、共通認識を持つ。ところが、今回の最終予選のテクニカルルーティン(TR)では、プレスイマーがいなかった。ジャッジの採点基準はあいまいなまま、1番手だった日本の演技はスタート。日本の得点はばらつき、ウクライナにリードを奪われてしまった。

 井村HCは「五輪が行けるか、行けないかの試合で、納得ができない」とずさんな大会方式についてFINAに抗議した。結局、日本はTRでの出遅れが響き、フリールーティン(FR)でもウクライナを逆転できず、0・0525の小差で2位に終わった。ジャッジの判定にも納得のいかない井村HCは「1点何ぼは(ウクライナに)勝っていてもいい」と続けた。

 事前の格付けが重要な競技。昨年世界選手権金のロシアと銀の中国は格上。今大会は昨年世界選手権同様、メダル争いのライバル、ウクライナとの勝負が焦点だった。目標の1位通過を逃したことは大きな誤算。

プレスイマーがいないなどの大会方式が影響したとしたら泣くに泣けない結果だった。

 井村HCは「負けた気がしない。腹立っただけで帰ってきた」と怒りが収まらない。それでも選手たちには「小差でも負けは負け。本当の勝負の決着はリオでつける」とリベンジへ鼓舞した。「自分たちにスキがあったということ。乗り越えないとリオでメダルはない」とエースの乾友紀子(25=井村シンクロク)。「(2位の結果は)気にくわないけど、あの子たちには気を引き締める、良い薬になった」と最後は気持ちを切り替えるように言った。