バレーボール女子日本代表の次期監督候補に、元日本代表で女子のプレミアリーグ、JT監督の吉原知子氏(46)らが挙がっていることが29日、明らかになった。日本協会の関係者によれば、同じく元日本代表で久光製薬監督の中田久美氏(51)の名前も挙がっている。2大会ぶりのメダルを目指す20年東京五輪で、女子日本代表では史上2人目の女性監督が誕生する可能性が高まった。

 吉原氏は15年5月にJTの監督に就任。チャレンジリーグに降格していたチームをわずか1年で3季ぶりのプレミアリーグへ復帰させた手腕が評価されたとみられる。中田氏も12年の監督就任1年目で久光製薬をプレミア優勝に導いた。国内での女子選手の指導実績は、2人とも申し分ない。

 女性監督となれば82年の生沼スミエ氏以来となる。五輪の指揮となれば女性初だ。日本協会で強化本部長を兼任する木村憲治会長は「男性の監督では気づけない細かいところにも目が行きとどくという良さはある」と、女性指揮官を立てる可能性を認めている。

 日本は12年ロンドン五輪の銅メダル以上を目指してリオデジャネイロ五輪に挑んだが、準々決勝敗退。真鍋政義監督は退任の意向を示していた。新監督候補は現段階で5人程度に絞られているという。順調に進めば、10月上旬に行われる強化委員会で優先順位をつけた複数人の候補者が、監督推薦委員会を経て正式に理事会に推薦される。次回の理事会は同月25日で、そこで承認されれば決定となる。

 ◆吉原知子(よしはら・ともこ)1970年(昭45)2月4日、北海道妹背牛(もせうし)町生まれ。現役時代はミドルブロッカー。妹背牛中1年で競技を始める。87年に妹背牛商高3年で日本代表に初選出。卒業後は日立でプレーし、95年に日本人初のプロとしてイタリア・セリエAのアンコナ入団。五輪は92年バルセロナ、96年アトランタ、04年アテネと3度出場。06年に引退し、15年から現職。

 ◆中田久美(なかだ・くみ)1965年(昭40)9月3日、東京都練馬区生まれ。現役時代はセッター。練馬東中1年で競技を始め、3年時に史上最年少の15歳で日本代表選出。五輪は84年ロサンゼルスで銅メダル、88年ソウル、92年バルセロナと3度出場。97年の引退後は日本協会の強化委員などを務め、08年にイタリア・セリエAのビチェンツァのコーチに就任。日本人初の海外チーム指導者となった。