ノルディックスキーのNBS杯ジャンプ大会の公式練習が4日、長野・白馬ジャンプ競技場(HS98メートル、K点90メートル)で行われた。

 女子のエース高梨沙羅(20=クラレ)は、風が安定せず難しい条件だったとはいえ、2回飛び87・5メートル、81・5メートルでともにトップ。相変わらずの存在感を示した。2、3日とラージヒルで練習を行っており切り替えが難しかったはずだがあっさり攻略した。「白馬のラージヒルを人生で初めて飛んだ。すごく気持ち良かったけど、(5日の)大会はノーマルヒルなので、引きずらないで切り替えることを心がけた。自分のやるべきことはできたと思う」と満足げに話した。

 発奮材料ができた。練習後、W杯個人総合の初代女王でライバル、サラ・ヘンドリクソン(米国)が、ケガから2季ぶりに復帰することを聞かれると満面の笑みを浮かべた。「すごくうれしい。彼女はいるだけで違うので」と再会を心待ちにした。

 09年、夏のコンチネンタル杯で初めて出会った。順位は高梨が11位、ヘンドリクソンが19位。順位こそ上だったとはいえ、飛び出しから着地まで流れるように飛ぶそのジャンプに心を奪われた。「ジャンプがずばぬけていてびっくりした。ずっと憧れの人です」とまるで恋人の話をするかのように声を弾ませた。

 ヘンドリクソンは、14年ソチ五輪で最大のライバルと目されていたものの、13年に右膝を負傷し、ソチ五輪では力を出せず21位。昨夏、練習中に転倒して再び膝を痛め、昨季を全休していた。それでも高梨にとっては変わらず特別な存在。懸命にリハビリに励む姿を見て、再び競技への思いをかき立てられた。昨季、W杯会場で対面すると「少しずつ良くなっている」と伝えられていただけに復帰を待望していた。「努力している姿はすごく励みになった」と話す。

 ライバルは12月のW杯開幕戦(ノルウェー・リレハンメル)から出場予定だ。高梨は「女子のジャンプを引っ張ってきてくれた1人。また一緒に飛べることを楽しみにしたい」。今季、2人のライバル伝説の第2章がスタートする。