本番前の試技では断トツの93メートルを飛び、観客をどよめかせた。調子を上げてきた五輪初代女王フォクトも、4日の第13戦で3位に入った後、高梨の強さの秘密を問われ「それを知っていたら自分も全て同じようにやるのに」と舌を巻くほどだ。50勝に王手をかけた1月14日札幌大会から5戦未勝利と停滞も、1月29日のルシュノブ大会(ルーマニア)で節目を超えてから絶好調。ここから一気にジャンプ史を塗り替えにいく。

 ◆スキーのW杯通算勝利 最多は女子フリースタイル・複合106勝のコニー(スイス)で、ジャンプは男子53勝のシュリーレンツァウアー(オーストリア)。ジャンプ女子は、52勝の高梨がトップで、13勝のヘンドリクソン(米国)、12勝のイラシュコ(オーストリア)となっている。

 ◆グレゴア・シュリーレンツァウアー 1990年1月7日、オーストリア生まれ。W杯は16歳だった06年12月のリレハンメル大会で初優勝。通算53勝、08~09年と12~13年シーズン総合優勝。五輪で銅2、世界選手権で金1、銀3、フライング世界選手権で金1、銀1(いずれも団体を除く)。